第12話 謎の少女
沖縄から帰宅して3日後の8月10日
この日、開発部の章典は優香とピクシーのマノを連れて、秋葉原に来ていた。
目的は章典の趣味のプラモを買う為だ。
まだ、秋葉原に行った事がないピクシーのマノは章典の肩の上に座っていた。
マノ ガタン♪ガタン♪フンフンフーン♪
電車の揺れに合わせてマノが足をブラブラさせながら、歌っていた。
優香 マノちゃん、楽しそうだね?
マノ うん♡沖縄も飛行機も楽しいし、電車も楽しい♡
この世界には何でもあるんだね~♪
章典 魔界には何もないのかよ?
マノ ううん。お空を飛ぶ電車とかが、あるよ。でも、マノの暮らしてた森はね?木とお花ばっかり~♪
だから、楽しいの♡
章典 空飛ぶ電車か~!俺はそっちに乗ってみたい笑
優香 アタシも♡
電車からアナウンスが流れ、全員が降りた。
マノ わ~♡人が沢山なの~!
優香 マノちゃん、カバンに♡
マノが優香のバックに入り、人形のふりをし、改札口を抜けた。
章典、さて、どうする?俺は目的の物を買いに行くけど?
優香 決まってんじゃん!一緒に行くよ♡部長の好きな物、気になるし~♡
章典 ここで部長は照れくさいかも笑
そして、章典がいつも行くお店へ向かい『車のプラモ』を買って3人は喫茶店で休憩した。
優香 ふーん、部長ってプライベートでも物づくりをしてるんだね?
マノは夢中でストローを吸い、イチゴジュースを飲んでいた。
マノ 幸せ~♡美味し~♡
ゲホッ、ゲホッ!
優香 あーあ、ゆっくり吸わなきゃ!
章典 今は、のんびりで良いね~♪天使とか、早く終わらせたいよ!
章典が外の景色を見ながら、ため息をついた。
そして、帰りの駅での事、迷子なのか、一人の少女が改札口近くの柱の前で寂しそうに座っていた。
少女の服はヨレヨレで、薄着だった。
優香が声をかけた。
大丈夫?お母さんを待ってるの?
少女は首を横にふって、口を開いた。
違うの。お家から逃げて来たの。
章典 こんな所にいたらさ、変な人に連れてかれちゃうよ?
駅員さんの所に行こうよ?
いや!自立する!
章典 自立か~笑
俺も零時に出会う前にそうゆう時期、あったな~笑
君、何歳?
8歳!
優香が周りを見まわすと数人の男が少女をジロジロと見ていた。
とりあえず、ウチ来る?
一応、お家はどこか聞いて良い?
良いの?お家は、
少女が上を指さした。
優香 うん♡上???
章典が優香に耳打ちをした。
良いのかよ?マノの事とか大丈夫か?それに彼氏とかは大丈夫かよ?
優香 部長?アタシ、彼氏とかいないんで!
章典 そうだったんだ笑 悪い!
優香 何で、いるって決めつこるかな~?ブツブツ。
じゃ、行こう!
優香が少女の手をつなぎ、電車に向かった。
アタシ、霧崎 理歌
理歌ちゃんか~、アタシ、目方優香。で、この人は部長の兵藤章典だよ。よろしくね。
ふーん。不倫?
章典 なっ!違うわ!彼女とかいねーし!
そこにマノが飛んできて章典の肩に座った。
マノ へへーん♡アタシが彼女♡
章典 おい!
理歌 キャー♡お人形が喋った~!
章典が慌ててマノを優香のバックにしまった。
優香 アタシ、降りるの次だよ。部長も来るよね?
章典 えっ?いや、俺は~
優香 何?もしかして丸投げですか!?パワハラ的な?笑
章典 いや、だって、ほら、プラモを作りてーし。ね?
優香 ふーん。じゃー、お願い♡家まで来て♡
章典 分かったよ!仕方ねー。
章典は渋々、優香の家に行った。
家は3階建てのアパートで、外観は白のコンクリートを基調にした普通な感じのアパートだった。
その3階に優香の部屋はあった。
部屋の中に入ると玄関には観葉植物があり、白の絨毯に白のソファが部屋に見えた。
そして、テレビと真ん中に机があり、壁側にはPCと白の鏡がついた化粧台とピンクの椅子。クローゼットがあった。
章典 へー。綺麗にしてるんだ!
優香 理歌ちゃん、そこ、座って。
理歌が章典の向かいに座った。
章典 で、理歌ちゃんは何で家出なんかしたんだ?
理歌 ん~、言えない。
章典 それだと、困るんだよ。俺達、これだと誘拐じゃん!
理歌 何で?理歌がついて来たんだよ?
優香が着替える為に隣の寝室へ入っていき、5分後、部屋着で戻ってきた。
マノ ね、ね、もうアタシ、人形のふり、しなくても良い?
マノが優香の部屋から飛んできて、章典の肩に座った。
理歌 わ、わ!お人形さんが喋って飛んでた!
章典 不思議かもだけど、コイツはピクシー族のマノって女の子なんだ。
理歌、さ、触って良い?
マノが机の上に降りて座った。
理歌がそっとマノの頭を指で撫でた。
理歌 あ、可愛い♡
章典 でさ、駅で何をしてたんだよ?
理歌 うーん。分かんない!
優香が弁当を机に置き、一緒に話しだした。
ヨイショ♪食べよ♡
章典 あ、そんな時間か?お、俺、帰らなきゃ!
時は19時
章典が立ち上がろうとすると優香が袖を引っ張った。
優香 ダ~メ!理歌ちゃんの話しがまだだよ。
章典 けど、遅くまでは悪いし!
優香 なんなら、泊、ま、る?♡
章典 な!マノもいるのに?
優香 ん?いちゃダメ?
章典 あ~、もう!分かったよ!
マノは鼻歌を歌いながら章典の肩に座った。
マノ わーい♡章典が一緒♡
章典・・・この子、魔力を感じないのにマノに抵抗がない。不思議・・・
理歌が章典を見てニッコリした。
章典は仕方なく優香の家に泊まる事になった。
そして、理歌の事は結局、名前以外は分からなかった。
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