第2話 同級生(2)

 田城と別れ、俺は家に着く。田城のヤツは最後までぶつぶつと何か言ってやがった。良いだろ!実家行くぐらい!と思いつつ、寝る準備をする。

 そのまま横になって、寝ていたらしく、気づいたら朝になっていた。さっそく川野の家に行くべく準備に取り掛かる。

         *

 「ここか。」

 俺は田城に教えてもらった住所にたどり着く。2階建ての木造アパートだ。老朽化がかなり進んでおり、素人の俺でも傷んでいるのが分かる。地震なんてきたら、ひとたまりもないだろう。

 俺はそのアパートの階段を上がる。俺が登ってる時に抜けるなよと思いつつもそんなことはなく、2階に着く。そのまま目的の部屋の前に立ち、インターホンを鳴らす。しかし、中から物音1つせず扉が開くことはない。留守かと思い、アパートの階段を下り、立ち去ろうとする。すると、前方から男がこちらに歩いてくるのが分かり、顔を見る。こいつだ!川野光一(かわのこういち)だ!向こうも俺に気づく。

 「てめえ、唐沢か?久しぶりだな、元気にしてたか?」

 「そういうてめえは元気じゃなさそうだな、相談乗ってやろうか?」

 「あっ?なんだ、昔のことすぎて俺への接し方忘れちまったか?何舐めた態度とってんだ!やんぞ、こら!」

 「山中のせいで無職なんだってな、俺と田城は組むことにした。お前も俺らに協力しろ。」

 「協力しろだー!してくださいだろ!調子に乗りやがって!てめえみたいなヤツは弱いくせに自分が有利だとすぐいきがる。俺が教え直してやる。どっちが上か。」

 「しゃーねー、どのみち1発は殴るつもりだったからいいけどよ。」

 俺は隠し持っていた金属バットを持って川野に向かっていく。川野もポケットから何かを出す。電流が見える。スタンガンか。

 俺はそのまま川野の頭めがけて金属バットを振ろうとするも川野もスタンガンを振ってくる。俺は慌ててそれを避ける。

 「思い出してきたか?唐沢~。」

 煽ってきやがる。腹立つ!くそ!

 冷静に対処すりゃ怖くはない。現にヤツはパンチやキックは打って来ずスタンガンのみの攻撃だ。武器を持ってるヤツはその武器が一番の攻撃手段だからこそパンチやキックではそこまでのダメージが入らないと考える。スタンガンのみのワンパターンの攻撃。それにこっちはバットだ。リーチに差がある。

 川野が向かってくる。ヤツのスタンガンはかなり近づかないと届かない。こっちのほうが有利だ。俺は川野の頭めがけて金属バットを振る。川野はそれを片手でガードする。俺は再び川野と距離をとり、再び向かってスタンガンを持っている方から川野の頭めがけて金属バットを振る。スタンガンを持っている手でガードしてしまえば反動で自身の体にスタンガンが触れてしまうかもしれない。そのせいで川野はガード出来ず、金属バットをもろにくらう。そのまま倒れる。

 「ぐわああああ!!痛ぇぇぇぇぇ!!」

 「どうする?まだ続けるか?」

 「分かった!協力する!すりゃ良いんだろ!」

         *

 川野は病院に向かい、俺は田城に連絡する。

 「もしもし。」

 「もしもし、こっちは順調だ。川野も仲間になってくれるってよ。」

 「そうか、川野のヤツ殴って仲間にしたのか?」

 「なんで分かんだよ?」

 「お前ならやると思ったんだよ。」

 「そっちはどうなんだよ?」

 「山中の実家の住所が分かった。とにかく行ってみる。」

 「大丈夫なのかよ?」

 「俺のほうがお前より強いんだから大丈夫に決まってんだろ。」

 「はぁ!?まだ決着ついてないだろ!何てめえが勝ったみたいに言ってんだ!」

 「勝ってたろうが!俺が!てめえ疲れてヘトヘトになってたろうが!」

 「お前こそヘトヘトだっただろうが!」

 「てめえと話すと気分悪くなるから切るわ。」

 「俺も同じこと思ってたわ。」

 そうして、連絡を終えて川野と合流する。

 「川野、お前どうする?」

 「俺は田城と合流する。お前とは合わん。」

 「あっそ。あれ、俺どうすりゃ良いんだ!聞くの忘れた!今さら電話して聞くなんてごめんだし、そのうち向こうからかかって来るだろう!」

 「1人で何言ってんだ。そのうち指示を飛ばしてやるから待ってろ。」

 「何てめえが上になってんだ!腹立つ!」

 川野は俺の言葉を無視して去っていく。

         *

 俺は家に戻っていた。今日はもうのんびりしよう。そう思っているとインターホンが鳴る。誰だよと思いつつ開ける。

 知っている顔だった。高校時代の同級生塩崎翔(しおさきかける)がそこにはいた。

 「久しぶりだな、唐沢。」

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る