1月30日


ポン、ポン、ポン、ポーン

カシュッ

ゴクゴクゴクッ


「あ゛ー。sveidラジオ!」


「みんなー、オッハー。パーソナリティーの悠衣でーす」

「通勤お疲れ様です。お仕事頑張りましょう。詩です」

「お前らの通勤に絶望を添える朝から飲酒ラジオ。sveidラジオ! の時間がやってきました」

「なんで月曜日って始まるのかしらね」

「日曜日が終わるからだろ」

「そういう哲学的なことを聞きたいんじゃなくてね」

「なんだよ、わっかんねえな」

「もういいわ。えっと、昨日動画投稿しました」

「そうだ! 聞けよ!」

「花純からもらった原稿をそのまま読むわね」

「よろしくー」

「えっと、まんがタイムきららで掲載されていた、かいふらいさん原作の4コマ漫画『けいおん!』。その作品のアニメ化第2期後半のエンディングテーマ、『No,Thank You!』のカップリング曲が『Girls in Wonderland』です」

「見たことないな」

「私も見たことなかったから、オープニングとエンディングのPVは一通り見たわ」

「律儀だな」

「OPはけっこう明るめな印象だったけど、EDはどれもかっこいいわね」

「萌えアニメなんだろ?」

「あっとちょっとだけエッチだったわ。目線が」

「萌えアニメだもんな」

「今回の『Girls in Wonderland』のメイン曲の方の『No,Thank You!』はなかなか衝撃だったわよ。あんたも見てみなさいよ」

「アニメは別になー」

「映像の最初でね、可愛い気のある女の子が、ふっと目線が逸れたかと思ったらカメラにバーッてスプレーかけるのよ。この時の無表情具合がなんともね」

「実写?」

「アニメよ」

「なんだ」

「でも参考になるかもよ。結構ロックよ」

「まあ、気が向いたらな。じゃ、今日のメールだ。ヒレカツ。最近二日酔いしやすくなりました」

「歳ね。体が弱くなってきてるのよ。チェイサーをちゃんと挟みながら飲むことと、週に2回くらいは休肝日作りなさい」

「姐さんその辺うるさいもんな」

「二日酔いで勝手にツラくなってるのはいいけど、世話しなきゃいけいないのはこっちなんだから」

「でも二日酔いになって、次の日の夕方まで無駄に寝て過ごすのも飲み会の楽しさじゃんね」

「じゃあ一人で全部やってなさい。水用意したり、おじや作ったりしてあげないわよ」

「ヤダー」

「なんて我が儘なのかしら」

「私はヒモなんだぞー。一人であれこれできるわけがないだろ! 虐待に近いぞ」

「そんな軽々しく」

「ちなみに姐さんの二日酔いエピソードはなんかあるか?」

「私じゃないんだけど、お母さんの話でね」

「いつのことだよ」

「私が小学生だったから、あー、あぶな。年齢出るとこだった」

「おしい」

「ま、いいわ。結構昔よ。いつも朝早いお母さんが全然起きてこなくてね。お父さんと一緒に薬とか云々を薬局に買いに行ったの。私も妹もめっちゃ心配してたのに、お父さんはケロッとしててね」

「ま、二日酔いだしな」

「私もすごい献身的に介抱したの。病気だと思ってたから。でも病院には行かなかったのよね」

「ただの風邪でも、べつに行かねえこともあるしな」

「で、私が酒を飲むようになってから聞いたのよ。お母さんいつも結構な量飲んでるけど、二日酔い無いの? って。そしたらよ」

「わりとなってたよって」

「そう! 言ってないだけで結構なってたからって。で、ピーンときたの。あの時の体調悪かった日は、二日酔いだったんだろうって」

「以上、落ちがわかってたトークでした」

「あんな振り方されたら無理があるでしょ」

「仕方ないだろ、ただの尺稼ぎなんだから。じゃ、締めるぞ」

「はいはい。昨日、『Girls in Wonderland』のカバーを投稿しました。けいおんファンも、そうじゃない人もぜひ聞いてね」

「死んでも聞け」

「あとは、メールフォームあるので、メールください」

「NGなしだ。何でも来い」

「今日は吉田よしだ七重ななえの1句。風邪に寝て壁の白さを見尽くせり。風邪に寝て壁の白さを見尽くせり」

「じゃあなー」

「行ってきます」


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る