1月25日


ポン、ポン、ポン、ポーン

カシュッ

ゴクゴクゴクッ


「あ゛ー。sveidラジオ!」


「みんなー、オッハー。パーソナリティーの悠衣でーす」

「今日は私も飲んじゃうわ。詩です」

「お前らの通勤に絶望を添える朝から飲酒ラジオ。sveidラジオ! の時間がやってきました」

「朝からお酒を飲めるのが1番幸せよね」

「その感覚はバグってると思うけどな」

「アンタはいつもいつもいいわね。こんな思いで酒飲んでるんだ」

「ちなみに、姐さんはとてつもなく酒が弱いから、今日は使い物にならないだろうな。練習もたぶんできん」

「そんなことないもん! 私最近になって気づいたことがあるのよ」

「なんだよ」

「才能って全然ないと思ってたのね。ほら、凡人オブ凡人じゃない、私」

「まあ、つまらん人間ではあるかもしれん」

「それ。つまらないって言われるの1番嫌いなのよね」

「それは知らんけど」

「でもね、気づいたのよ。私、努力は結構できるタイプなの。でも周り見てると、努力するって結構挫折しちゃうというか」

「まあ、成長が見えてこない諦めたくなるよな」

「そう、そこなのよ。私、努力は結構できるのよ」

「さっきも聞いたぞ」

「だから、努力するというか、地道に頑張ることに耐える才能は有るんだと思うの」

「凄いことではあるよな」

「だから、お酒飲んだ後でもドラムの練習はできるわけ!」

「それは努力とは少し違うと思うけど」

「話は変わるんだけどね。この前面白い漫画見つけたの」

「珍しい。いつも本ばっかじゃん、読むの」

「漫画は漫画の面白さがあると思うから、たまには読もうと思ってね。でね、ちゃんとラジオで言うためにメモしてきたわ。平庫ワカさんが描いた、『マイ・ブロークン・マリコ』って作品でね」

「どんな」

「私があらすじを言うと安っぽくなっちゃうから、待ってね。どっかにあらすじが転がって、るで、しょ。っと。えー、ウィキをそのまま読むわよ」

「どうぞ」

「OL・シイノトモヨは、ラーメンを食べながら見ていたテレビのニュースで、親友・イカガワマリコが亡くなったことを知る」

「うわ、この始まり方すごいな」

「マリコは父親から長年にわたって虐待を受けていた。シイノはせめて親友の遺骨だけは救い出そうと、懐にドスを忍ばせ、刺し違える覚悟でマリコの実家へ向かう。 シイノは、マリコの実家へ赴き、格闘の末遺骨を強奪する」

「ずいぶんな展開だな」

「まあまあ。えー、そして、シイノは遺骨を抱えてベランダから飛び降り逃走する」

「パワフルすぎて」

「シイノは、かつてマリコが海へ行きたいといっていたことを思い出す。そして、マリコが行きたがっていた岬を目指し、高速バスに乗り込んだ」

「高速バスってあたりがまた、人生観が出ていいね」

「でしょー。なんかね、絵がキレイなわけじゃないんだけど、むしろその感じが物語のドタバタ感が出ててね。あと、主人公がタバコ吸ってるのもいいんだわ」

「ほー。最近の作品ってちょっと珍しいからなー」

「やっぱタバコ吸ってなきゃ絵にならない部分ってのもあると思うのよね」

「じゃあ私が死んだら、仏壇にはタバコさしてな」

「それもいいわよね。なんか、喫煙者に煙草供えるのって」

「いや、死なないでーとか言うところだったろ、今の」

「でも私が死んでも仏壇に煙草供えないでね。家族とかには隠してるんだから」

「聞いちゃいねえし。なんで隠してんのさ」

「だって、そりゃ」

「いいだろ別に、大の大人なんだから。吸いたいもんを勝手に吸ってるだけだし。そもそも姐さんの親ってどっちも吸ってるだろ」

「だからこそ。吸ってほしくないって昔から言われてて」

「だー、いい子ちゃんだよ。出たね、姐さんの悪いところ。周りの期待する姿を演じようとするやつ」

「もう無理だもーん。私に芯なんてないもーん」

「はー、こういう奴が私をヒモにしてくれるんだからありがたい話ではあるんだけどさ」

「はー。煙草おいしー」

「でも姐さん、1ミリでしょ? そろそろあげようと思わんの?」

「あげたいっていう感覚がわかんないけど。これで十分楽しんでるし。あげすぎて体に害が来るのも嫌だし」

「でも全然置いてないって言ってたじゃん」

「そうなのよねー。キャスターホワイトの1ミリって、ロングは置いてあるところあっても、普通のサイズは全然置いてなくて。だから買いだめするんだけど、あると吸っちゃうわよね」

「あー、つもり話もあるだろけど。そろそろ」

「そうね。次持ってくる」

「いや、じゃなくて締めようって。あー、行っちゃうし。ってか、今顔映ったんじゃね。え、どう? だれか見てる? 映ってた? ま、いいや。締めますよー。

えっと、『magicaride』カバーしてるから聞けよ。100回聞けよ。メールも送れ。以上。じゃーな!」


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