1月17日


ポン、ポン、ポン、ポーン

カシュッ

ゴクゴクゴクッ


「あ゛ー。sveidラジオ!」


「みんなー、オッハー。パーソナリティーの悠衣でーす」

「通勤お疲れ様です。お仕事頑張りましょう。詩です」

「お前らの通勤に絶望を添える朝から飲酒ラジオ。sveidラジオ! の時間がやってきました」

「火曜日というのは一週間の中で2番目にツライ日ね」

「じゃんけんぽん!」

「私じゃんけん弱すぎない? えっと。上はオレンジが混じったくらいの赤。下はー、濃いめの赤。ワインレッドみたいな」

「はい、お前ら満足か。満足しろよ」

「昨日言おうと思ってたんだけど、せっかくならカバーした曲を紹介したほうがいいんじゃない?」

「そうか? じゃあ頼んだ」

「ってわけで、花純に頼んでた原稿読み上げるわね。えーっと。2008年にすたじお緑茶から発売された。え? 魔法少女が大活躍のアクションADV? セーラームーンみたいな? ってことかしら」

「せめて今の世代にわかるようにプリキュアとか言えねえのかよ」

「続けるわよ。えっと、『マジカライド』が発売され、その主題歌が今回カバーした『magicaride』です。作詞、八木沼悟志さん、山下慎一郎さん。作編曲、八木沼悟志さん。歌、fripSideさん」

「fripSideは、近年レールガンで有名だな」

「詳しいわね。えっと、今回の曲をセレクトした花純としてはfripSideで一番好きな曲で、初代ボーカルのnaoさんの頃はよかったが、2代目の南條愛乃さんのカバーは微妙だった。しかし、3代目の上杉真央さんと阿部寿世さんでは、化けた。私はこれからもfripSideを応援する。だそうよ」

「失礼極まりない文章だな」

「関係者の皆様、並びにファンの皆様、花純になり替わりお詫び申し」

「いらん! 言いたいこと言って何が悪い。ロックだろ」

「いや、形式美は大事よ」

「少なくとも私らが謝ることではないだろ。文句があるやつは花純にだけ言え。私らは知らん」

「過激ねえ」

「多少目くじら立ててもらったほうが人の目にはつくしな」

「それはここで言っちゃ意味が」

「さて、今日のメールだ。ヒレカツ奉行から来たぞ。えーっと。尾崎豊にはまり始めました。昨日は夜の校舎の窓ガラスを壊して周った夢を見ました。34歳です」

「とんでもな人ね。まあ、年齢のことはそろそろ私も言えない頃になってきてるけど。こうやって年齢が添えられると余計に哀愁が漂うわね」

「姐さんは尾崎豊は?」

「お母さんが好きだったせいで、結構早くから聞いてたわ。それこそ中学生のころよ」

「姐さんの中学生の時ってさ」

「生徒会やってたわね。担任にどうしてもやってほしいと泣きつかれたのも、今となってはいい思い出ね」

「品行方正な姐さんも今となってはセックス狂いの社畜だもんな」

「セックスにくるってるんじゃなくて、気持ちいいことをまっすぐ追い求めてるだけよ」

「34歳が急に尾崎豊にはまるよりも、強烈な気がするぞ。その発言」

「あら、欲望に忠実で何がいけないのかしらね。実社会では一応、品行方正は保ってるわよ」

「漏れてないといいけどな」

「ほんとにそれよ。だから、絶対に顔を出して個人情報を漏らすわけにいかないのよ。みんな分かってね」

「変なの」

「っていうかヒレカツさんさ、返事してくれてなくない?」

「ほんとじゃねえか! おい聞いてんのか! 尾崎豊を聞くのもいいけど、ラジオも生で聞けよ?」

「生は良いわよ?」

「お、ちょっとセクシー路線か?」

「切り抜き用よ」

「さすがネット老人会は違うぜ」

「はいはい。締めるわよ。まず宣伝。この前の日曜日にfripSideさんの『magicaride』をカバーしたわ。聞いてね」

「絶対聞け。1人100回再生がノルマだ!」

「メールフォームあります。概要欄のリンクからどうぞ」

「NGなしだ! 何でも来い! 私と遊んでくれる女の子も募集中だ。最後に姐さんからの教養だ」

「今日の1句よ。今回は、殿村とのむら菟絲子としこの1句。幸不幸ねぎをみぢんにして忘る。幸不幸葱をみぢんにして忘る。葱は冬の季語よ」

「また明日ー」

「はあ、行ってきます」


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