1月13日
ポン、ポン、ポン、ポーン
カシュッ
ゴクゴクゴクッ
「あ゛ー。sveidラジオ!」
「みんなー、オッハー。パーソナリティーの悠衣でーす」
「通勤お疲れ様です。お仕事頑張りましょう。詩です」
「お前らの通勤に絶望を添える朝から飲酒ラジオ。sveidラジオ! の時間がやってきました」
「今日が終われば週末よ」
「オープニングトーク。ラジオネーム、ヒレカツ奉行から。半年ぶり3回目の電気が止められました。夜ってこんなに静かだったんですね。感動です」
「感動する前にやるべきことがあると思うわ」
「養ってくれる人を探すのか」
「支払いをしなさい」
「金があればしてるんだよ、普通は」
「お金がないなら働きなさい」
「働く以外にも金の入手法なんていくらでもあるんだから、働く必要はないだろ」
「じゃあどうするのよ」
「誰かに借りるとか。代わりに払ってもらうとか。いっそのこと払わずに電気が止まったままで過ごすとか」
「それをやりだしたら人間終わりよ」
「ま、硬いことは気にすんなって」
「硬いというか、常識というか」
「それはそうと、姐さん。練習は進んでる?」
「何が? 明日の?」
「当たり前だろ。明日のレコーディングはどうだ」
「正直相当きついわ」
「そっか。ま、がんばってくれ」
「そういうアンタはどうなのよ」
「私か? 完璧に決まってるだろ」
「それはそれで腹立つわね」
「自分から言い出したことはどんな些細なことでも守るぜ。むしろ些細なことのほうが守るかな」
「その芸人根性はバンドマンらしいというかなんというか」
「って。私たちのこんなくそみたいな紹介、別にわざわざいらねえんだよ!」
「じゃあなに話すのよ」
「明後日投稿する曲の紹介だろうが」
「はあ。え、どうするの。花純呼ぶの?」
「チッチッチ。甘いね、姐さんは。まるで」
「まるで?」
「イチゴジャムだな」
「は?」
「姐さん知らないの? ジャムって信じられんくらいの」
「砂糖使いまくってるんでしょ? そういうことじゃなくて、こういう時ってもっとなんか上手い比喩表現求められてるんじゃないの?」
「じゃあ、姐さんなら何て言うのさ」
「え、えっと。私とアンタのピロートークくらい」
「そんな甘いか?」
「そもそも誰にも伝わらないネタに走ってしまって、嫌悪感すら感じてるわ」
「初めてエッチした時って何喋ってたっけ」
「寂しいこと言うわね。室内の喫煙室って、風がないから煙が目に染みてツラくない? って話よ」
「むしろそんなどうでもいいこと、よく覚えてんなー。さては私のこと大好きか?」
「じゃないとこんなことやらないわよ」
「バンド?」
「朝の拷問ラジオよ」
「それはまあ、いいじゃん」
「バンドも、まあ。窮地には立たされてるわけだけどね。練習の時間取り切れないから」
「でも、結局断らない姐さんが悪いともいえる」
「そうなのよねー。ホンっとに。これがヒモになれないタイプかー。って思わされるわ」
「ヒモはヒモで大変なんだぜ?」
「はいはい、言ってなさい」
「信じてないな?」
「信じるも何も。ねえ。はい、締めるわよ」
「はーい」
「まず宣伝。1月15日の日曜日。ついに明後日よ。カバー曲を投稿するから。聞いてほしいような。聞いてほしくないような」
「だめだ。絶対聞け」
「うーん。複雑。あと、メールフォームあります。概要欄のリンクからどうぞ」
「NGなしだ! 何でも来い! あと、私と遊んでくれる女の子募集中だ。何でもいいから連絡くれ。最後に姐さんからの教養だ」
「今日の1句ね。今回は、ながさく
「また明日ー」
「行ってきまーす」
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