1月12日


ポン、ポン、ポン、ポーン

カシュッ

ゴクゴクゴクッ


「あ゛ー。sveidラジオ!」


「みんなー、オッハー。パーソナリティーの悠衣でーす」

「通勤お疲れ様です。お仕事頑張りましょう。詩です」

「お前らの通勤に絶望を添える朝から飲酒ラジオ。sveidラジオ! の時間がやってきました」

「座り位置とか、カメラとかあると気分が変わるわね」

「本物のラジオやってるみたいだろ」

「ラジオに本物も偽物もないと思うけどね」

「さいしょはぐー。じゃんけん、ぽん! 勝ったー!」

「あー、もう! 負けちゃったー。えっと」

「姐さん。淡々としすぎ」

「演技なんて無理よ。我慢しなさい。それよりも下着の色言うんだから心して聞きなさい」

「え、姐さん?」

「上は薄めの赤。パステルカラーね。下は濃い目の赤」

「今見るのかよ」

「一々覚えてなんかないわよ。その辺にあるのつけるだけなんだから」

「生活感を感じるぜ。お、1人いるぞ」

「あら、ラッキーボーイね。ボーイかしら。ガールかしら。それともおじさんかしら」

「なんでもいいよ」

「なんでもよくはないでしょ。女の子だったら遊んでもらえるかもしれないじゃない?」

「確かに! よし、今日は張り切るぞ」

「張り切って何するのよ」

「実はメールが届いた」

「あらま。それもまたすごいわね」

「初メールだ。覚悟しろ。ラジオネーム、ヒレカツ奉行。パンチラは見えないことにこそ価値があると思う」

「それは分かるわ」

「いや、見えた方がいいだろ」

「ばかねえ。ずっと後ろをつけ狙って、もうちょっとと思いつつ少し体をかがめてみたり、首をひいたりして見てる間に想像できるでしょ。あんな顔してエッチなパンツかな。それとも、くまさんのプリントされたパンツかな。とか」

「それはあるかもだけど」

「それが見えてしまったら、妄想はおしまいなのよ。やっぱり人ってミステリアスな部分が多い方が良いのよ」

「でも、パンツが見たいから覗き込んだりするんだろ?」

「そうよ」

「じゃあ見たいんじゃん」

「あー、こりゃダメね。平行線ね」

「なにが」

「このギリギリのところで、もう少しかがむか、いやそれは目立つし。でも見たいのに。って葛藤がいいのであって。つまり、パンツが見たいのんじゃなくて、パンツが見たいという状態がいいのよ」

「意味わからん」

「はあ。義務教育からやり直してきなさい」

「姐さんは義務教育を何だと思って」

「ちなみに1つ言っておくけどね。スカートが短いのは、おじさんに見せるためじゃなくて、その方が可愛いからよ。誘ってると勘違いして近づいちゃダメよ」

「それはそうだな」

「でも遠くから見えてしまうのは仕方ないわ。見えるような状態にしてる側が悪いの」

「一理ある」

「あとね、全国の女子中高生のみんな。階段上るときスカートを抑えるでしょ? あれ、余計にエッチよ。どうせ見えないんだから堂々としてなさい」

「はあ」

「私今まで結構頑張って覗き続けてるけど、見えたのなんて片手で足りるくらいよ。だからよほど短くない限り見えないから安心なさい。あと、嫌ならスパッツかタイツ履いときなさい。ダサいけど被害にあうよりは十分マシよ」

「なんか社会派なラジオになっちゃったな。あと姐さんの変態性が垣間見えた」

「さて、そろそろ締めるわよ。飲んじゃいなさい」

「はーい」

「まず宣伝。1月15日の日曜日。ついに明々後日ね。カバー曲を投稿するから聞いてね」

「絶対聞けよ」

「あと、メールフォームあります。概要欄のリンクからどうぞ」

「NGなしだ! 何でも来い! あと、私と遊んでくれる女の子募集中だ。何でもいいから連絡くれ。最後に姐さんからの教養だ」

「今日の1句ね。三橋みつはし敏雄としおの1句。戦没の友のみ若し霜柱。戦没の友のみ若し霜柱」

「また明日ー」

「行ってきます」


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