柚とのお泊り1

 洗い終えて柚の近くに座る。

僕が座ったのを確認してカバンからスマホを取り出す。


 「お母さんに連絡するからちょっと待ってね」


 そう言ってスマホをいじる。

連絡し終えたのかすぐにスマホを地べたに置く。


 数分後、ピコンという音が鳴り再びスマホをいじる。

たぶん返信があったのだろう。

彼女は画面から目を離し僕の方をちらちらとみてから目線を画面に戻した。


 その間、どういったやり取りをしているか気になるが聞くのは違うと思い何となくほかのことをしているふりをすることにする。

でも、何もすることがないので僕もスマホを取り出し連絡が来ていないか確認することにした。


 特にやり取りする人がいるわけではないので基本確認したりはしない。

だから前、友達とやり取りしたものしかないだろうと思っていたが、新しい通知があった。


 それも二つ。

一つは奏多からで、もう一つは鈴から。

奏多からは「鈴に連絡先教えたからたぶん連絡行くと思うぞ」と送られて、鈴からは「奏多君から連絡先聞いたからよろしくね」と送られてきていた。


 いろんな意味で驚いてしまう。

鈴から連絡があったのはもちろん驚いた。

それよりもつい数分前空気が悪かったはずなのにこういうやり取りをしていることに驚く。

まったく気にしていないのならそれはそれでいい。

考えそうになったのを何とか抑える。


 とりあえず返信しスマホから目を離し顔を上げると柚の顔が近くにあった。

その位置から画面が見えたのか少し機嫌が悪い。


 「へぇ、優希って宮守さんの連絡先知ってるんだね」


 いつも通りのトーンなはずなのに怖いと思う。

やっぱり柚は彼女に対して何か思うことがあるのかもしれない。


 「まぁべつに優希が誰と仲良くしてもいいけどね」


 拗ねたようにそう言ってそっぽを向く。

何とか機嫌を取りたいがいま何をしても意味のないように思う。

どうしていいかわからずに黙ることしかできない。


 しばらく黙っていたがいつか聞かなくてはいけないことなので聞くことにする。


 「柚って、宮守さんと何かあったの? 」


 「聞かれたくないかもだけど宮守さんがいるときだけ機嫌悪くない? 」


 彼女は僕の目を睨む。

それほど聞かれたくないことなのかもしれない。

普段なら僕は視線を逸らすがしっかりと柚の目を見続ける。


 「それって答えなきゃいけないかな? 」


 「優希って人が聞かれたくないこと聞くんだね」


 「まぁいいよ。いつか話すつもりだったし」


 「一応最後に忠告しとくね。本当にいいんだよね」


 いつの間にか怖さはなくなり優しい感じが伝わってくる。

その代わりに覚悟を聞かれているように思う。

聞くのが怖いが聞くしかない。


 「うん、聞きたい」


 「わかった。長くなるけど大丈夫? 」


 「こっちは大丈夫だけど柚は時間大丈夫? 」


 「うん、お母さんに泊まる許可もらったから」


 柚が泊まるといっていたのが本当だとここで知る。

返事しようと口を開こうとしたとき二人のお腹がなった。


 そういえば夜ご飯を食べていなかったことを思い出し冷蔵庫に何があるか確認。

何もなかったので二人でスーパーに行くことにし準備を始める。


 「あ、制服でいくのやめた方がいいかもしれないね。着替えてもいい? 」


 確かに時間的にも制服でいるのはやめておいた方がいいかもしれない。

そう思い自分の部屋で僕も着替えることにする。


 「じゃあ、僕も着替えてくるね。着替え終わったら部屋をノックして」


 すぐに着替え終わり彼女がノックするのを待つ。

コンコンとノックされたので部屋を出る。


 そこで僕が目にしたのは衝撃の光景だった。

 










  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る