第7話

 面接が終わって、待ちに待ったスマホを見ると、返信が来ていた。

『おお!こんにちは、ワジツさん。実は私もつい先日レツラブに登録したばっかなんで、早速めっちゃ良さそうな相手が見つかって嬉しいです!!僕もsevenファンで、田辺貫太君推しです。男がそんなアイドルなんてと思われるかもしれないですが、ひとまず、好きなんです。映画が好きとか、育児につかれて色々とか、レストランとか全部一緒です!!私は医療従事者でして。あまり予定は取れないかもなんですが、ぜひ一度会いましょう!!の前に、しばらくコメントでおしゃべりしないとですね。あ、音声電話とかどうでしょう?お返事待ってます♬素敵な出会いをどうもありがとう』

 すげぇ・・・・・レツラブなら、まだアオハルもできる気がしてきた。


(で、音声電話ってなんだ?)

 私はそのことを考えていた。

 レツラブのヘルプで音声電話について調べてみると、「コール&サウンド」という機能にヒットした。コール&サウンドとは、時間を合わせて直接音声電話で会話するというもの。レツラブを通じて電話するから、電話番号も分からないらしい。

(良いじゃないの・・・・・)

 そう思って、私は彼にメッセージを送った。

『最初、音声電話ってどういうことか分からなかったんですけど、ヘルプを見ると分かりました。良いじゃないですか!いつ空いてますか?予定を合わせて話しましょ。それまでは、ひとまずメッセージで・・・・・』

 すると、その時に返事が来た。

『ああ、今行けますよ!ワジツさんは今行けますか?』

 素直に嬉しい!私は、すぐに返事を送る。

『OKです。全然いけますよ!!今自宅に帰る途中なんですよ。帰ったらメッセージでお知らせしますんで、そしたらかけてください!』

 和実はそうメッセージを送ると、急ぎ足で自宅へ向かった。


 ・・・・・しんと静かな私の家。もう、ここに健はいない。分かっていても、何か寂しいような気もする。蓮伍君だっけ?彼と暮らすことって本当にまずかったのか、もし蓮伍君と一緒に暮らせたら健との幸せな生活が送れたはずなのに。そして、そもそも翔太朗を見放さなければ・・・・・この静かな部屋の中で、和実は自分を襲ってきた邪念を打ち払う。

(そうだ、私は川辺の善い男さんと幸せな生活を送るハズなんだ)

 スマホを鞄のポケットから抜くと、レツラブのアプリを開く。

『今家着きましたー!!』

 短い文章を送る。その数秒後に電話がかかってきた。スマホの画面をスワイプすると、すぐに電話がつながった。

「もしもし?川辺の善い男さんですか?」

『そうです!こんにちは、ワジツさん。友達になってくれて本当にありがとうございます』

「こちらこそです」

『色々お話ししましょう』

「はい!何でも話しますよ!

『じゃあ、これまで何があったんですか?プロフィールに色々書いてましたけども。ぜひ、恋人として教えてください』

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