第2話

 深川はどうやら、すぐに連絡してくれたみたいだ。LINEが転送されてきた。

『ひとまず、一回どっかで会わないか?俺は休暇もらってるからいつでも』

『了(たけるさんへ)』

 と書いて、また深川に送る。なぜ、その転送先の相手とLINE交換しないのかと言えば、たまにスマホを見てくる章に知られてはマズいからだ。


「よし、食べ終わったぞ。じゃあ、学校に行こうか」

 おっと、章が来た。

「うん、がっこういこうがっこういこう」

 はぁ、なんか腹立つ。章にもだ。健さんは彼の何百倍もいいのに。

「それじゃあ、翔太朗を学校送っていくな」

「ん」

 一文字の返事を返して彼が出ていくのを待った。


 再び、スマホを見る。すると、返信がやってきた。

『それじゃあ、和実ちゃんも章に見つかるとマズいだろうから、俺が決めちゃうよ。いい?』

『OK』

 私は、LINEは短文が多い。今回も二文字だ。

 すると、すぐに深川からのLINEがやってきた。

『それじゃあ、ここな。

 レストラン・ビフベジ-3件のクチコミ

 地図を見る』

 文とリンクが送られてきた。その、ビフベジというレストランは初めて知ったが、サラダがめっちゃおいしく、ステーキやハンバーグがある店らしい。

『分かった。楽しみにしてるね♪』


 章が翔太朗の特別支援学校から帰ってくると、出社準備を始めた。

「それじゃあ、行ってくるな」

 何も知らない章にいってらっしゃい、と笑顔を出来るだけ消して見送った。

 それから、私も準備を始める。よそ行きの服に着替えて、カバンを持ち、バス停へ向かった。


「あ、健さん」

「お、いらっしゃい。それじゃあ、行こうか」

 バスを降りると、奥川健おくがわたけるが待っていた。そして、手をつないですぐ目の前のレストランに入っていった。

「それじゃあ、最初の報告。離婚届、出しておいた」

「そう」

 内心、複雑だがまあ、仕方ない。健の妻、ゆずなさんはかわいそうだが・・・・・仕方ない。

「それじゃあ、色々相談しようか。まず、子供は産まないよね?」

「当然」

 障害児を産んだ悔しさが忘れられない。だから、子供は産みたくなかった。

「それじゃあ、結婚式場は前言ったところで、誰を呼ぶ?」

「呼ばない」

「了解。で・・・・・」


 そんな感じで、ずっと相談していた。

「じゃあ、明日だよ、明日」

 彼は言った。そう、明日だ。

 ここで、ざっと健のことを紹介しよう。彼は、優しいが、私と同じで子供に対してイライラすることも多いらしい人。私と章、そして、ゆずなさんとは大学の知り合いで、それぞれ結婚した。

「それじゃあ、ひとまず婚姻届を出すだけでいい。結婚式は行わない。これでいいね」

「うん」

 そりゃあ、結婚式なんかしてもどうせ誰も来ないし、祝う人もいないからだ。婚姻届を出せば結婚なんだから、それでいいじゃん。

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