第2話

 送られて来たURLから、その怪しげなアプリをインストールする。『提供元不明アプリはインストール出来ません』とメッセージが出たから、許可設定をしてから再びインストールした。何か警告文出たけど、ヤバかったらアンインストールするから別に大丈夫だろう。

 さっそく開くと『ダークマッチングアプリ』という文字の下に『当アプリには1000万人もの人間のクズが登録されております。あなたが殺したい相手が必ず見つかるはずです』と書かれてあって、なんか笑った。

 ありきたりの注意事項を適当に読み、次に進むと沢山のタグが現れる。

『殺人』『詐欺』『万引』『不法投棄』など色々な項目が有った。前科の有る人を載せたブラックリストみたいな物なのかしら?

 SNSの所には『誹謗・中傷』のタグが有ったので、ひとまずどんな感じか知りたくてタップしてみる。すると人物名や掲示板名などを詳しく入力できる欄が出てきた。


「試しに何か入れてみよう。何がいいかな……」


 とりあえず自分の好きな男性アイドルの名前と、掲示板名を入れた。だが……。


「えっ?!何よこれ?」


『該当数が千件を超える為に表示が出来ません。入力情報が不足しております』と出た。これ以上、何を入力しろと……そうか!書き込まれた内容を入力すれば良いんだわ。私は『死ねとか書き込んだ奴』と備考欄に入力した。すると30人ほどの人物の顔写真が……。


「うそっ!顔も分かるの?名前や住所も本物?」


 電話番号や仕事先まで載ってる。これ、本物ならプライバシーなんて有ったもんじゃ無いわね。

 私は猜疑心を持ちながらも興味津々で色々タップして調べてみた。情報量が少ないのか該当者を中々少人数に絞り込めない。

 そんな中、『浮気・不倫』ってタグを見つけた。これは正に私が求めているドンピシャの項目だわ。

『浮気・不倫』にも前科者とかが登録されてるのだろうか?とりあえずタップしてみる。

 次ページの項目欄には、不倫相手の名前、住所、年齢を入力する欄が有った。

 不倫相手の名前?


「えっ?これ、旦那の情報を入れろって事?大丈夫かな……」


 私は少し考えたがマイナンバーやカードの暗証番号でも無いし、そこまで危険は無いだろうと、とりあえず旦那の簡単な情報を入力してみる。

 不倫年数まで有ったので、ここ一年以内と入力。

 これで旦那の浮気相手が見つかるなら神だわ。

 そう思って次に進んだら……。


「まさか……」


 一人の女性の顔写真と名前が……いや、もっと詳しい詳細まで有る。旦那とホテルに行った日や食事をした場所まで。その食事をしたレストラン名は、クレジットの明細のものと日付まで合致している。


「何なの、このアプリ……信じられない……」


 私は寒気さえしてきた。まさかこんなに簡単に浮気相手を発見出来るなんて……。

 そして更に進むとこんな文字が……。


『あなたにピッタリの殺したい相手は見つかりましたか?殺したく成った相手には【ディスライク】ボタンを押し、実際にコンタクトを取って行きましょう』


 コンタクト?連絡を取れって事?

 それは望むところだわ。けど次の言葉は……。


『相手はクズです。躊躇う必要はありません。抹殺の仕方にお悩みでしたら次をクリックして下さい。但しココからは有料です』


 抹殺……。

 有料……。

 課金アプリだとは分かっていたが……。

 この女を社会的に抹殺する方法を有料で教えてくれるって事なの?

 どうする?

 一万円で次に進めるみたいだけど、香夜に相談してから判断した方が……。


 いや、悩む必要はない。

 相手は私の旦那と寝たクズだ。

 この女は既婚者と分かってて交際してやがる。

 巫山戯やがって。

 私を虚仮こけにした事を思い知らせてやるわ。

 これは復讐よ。


 私はこの『山本凛花』という女の抹殺を決意する。

 そして次のステージに進んだ……。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る