第2話 女子との接点

 学校生活が始まる。

 高校に入って、以前より男女の壁が厚いと感じる。これが思春期か。


 部活は軽音楽部に決めた。モテそうだから。単純に。


五十嵐いがらし君、ベースうまいね。やってたの?」

 同じ音楽部の真砂 英里まさご えりさんが声をかけてくる。

「初めてだよ、真砂さんだってうまいじゃないか。」


 彼女はどこか僕にライバル意識があるらしい。楽器体験の時に同じ楽器、同じ音楽の趣味でずっといたのだから、意識するところもあるのだろう。


 1か月たった。僕の学校の音楽部はバンドを組んだ人以外の人とは交友がない。

 本当にない。とても驚いた。


 その点真砂さんはよく僕に話しかけてくる。

 彼女のコミュニケーション能力が大きすぎるというのがおおよそ僕に話しかけてくる理由だと想像する。だって僕と彼女は違うバンドになったから。ベースは1バンド1人。



 僕が組むことになったバンドは女子2人、男子3人の構成。女子の寺沢 結花てらさわ ゆかさんと遠矢 睦希とうや むつきさんは仲がいいようだ。何やらずっと2次元の話をしている。ちなみに僕とほかの男子は仲が良いとは言えない。敵対しているわけではない。ただ表面上の関係しか結べていない。なにせ、今、名前を思い出せないぐらいだ。


 僕は確信する。この男子と話していてもしょうがない。

 この女子二人と仲良くなろう。


 女子二人の会話にすっと入る。聞けば、ずっと二次元男子アイドルの話をしている。

 母の影響で見たことがあったので、会話に食らいついていく。

 うた☆プリは知っていてもアイナナは知らねえよ。と内心思っていた。どっちもアイドルの話で間違いないはずだ。2次元の世界も広いようだ。


 この人たちと話すためにアニメを見始めることにした。はたして最後まで見終えることができるのだろうか。




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