第47話 企み

 男は町の一角で馬車を停めていた。


 時刻は昼過ぎ。相手にその気があるなら、そろそろ返事が来る頃だ。


 首を長くして相手を待っていると馬車の外から合図がある。

 馬車の戸に一枚の文が差し込まれ、男はそれを受け取り、文面を確認して、口元に笑みを浮かべた。


「一つ、条件を追加したい」

「何だ?」


 男は外からの声に問う。


「男は始末し、女は呪え」


 その言葉に男は苦笑する。


「問題ない」


 最初からそのつもりだ。

 元より、女の方は呪われているがな。


 そしてゆっくり馬車は動き出す。


「今度こそ、貴女は俺のものになる。今世で無理なら次の世で」


 その準備は出来ている。

 この時のために自分は力を溜めてきた。


「例え、この世で貴女の命を奪うことになったとしても」


 揺れる馬車の中で男は歪んだ感情を滾らせた。


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