第159話 タラート14

 領軍は結界を展開し、その攻撃を防ごうとする。しかし、魔物たちは結界を突破し始める。領軍は結界の展開をやめ魔力を集中して魔物たちを薙ぎ払おうとする。領軍の魔力を込めた武器が魔物たちを襲う。魔物たちは吹き飛ばされるが、すぐに起き上がると領軍に再び向かってきた。そして、王国軍の兵士たちも領軍に襲いかかる。

 レイスの周りでは乱戦となった。

 魔物たちと王国兵が入り乱れる中、レイスとクロードの距離は徐々に縮まっていく。


 ガキンッ!!!


 金属同士がぶつかり合い激しい音が戦場に響く。


 王国軍が再び攻撃を仕掛けようとすると、目の前に巨大な火球が現れる。領軍はすぐに後ろに退く。そして、火球は王国兵を巻き込み爆発した。

 しかし、爆風の中からクロードが現れ、領軍に恐怖を与える。

 クロードの鎧には傷一つついていなかったからだ。


(どういうことだ? あの攻撃を受けて無傷だと?)


 レイスは、自分の目を信じることができない。

 さらに、クロードは剣を振るうと黒い斬撃が放たれる。

 領軍は、急いで結界を展開するが、結界は一瞬にして破壊され黒い斬撃を受けてしまう。


 ドォーン!


 凄まじい衝撃音とともに結界が破壊された。

 幸いにもレイス自身は無事だったが、それでも領軍はかなりのダメージを受けていた。


 そこに別動隊のクランスが現れる。

 クランスの部隊は対黒霧用の装備をそろえた部隊でありクロードの部隊が完全に油断するまで待機する作戦だったのだ。クランス部隊が王国軍の陣形を崩し、領軍がその隙に突撃する。それが、今回の作戦の予定だった。


 クランス部隊が王国軍を殲滅しているところに、領軍が同時に反転攻勢をかけるという作戦だったのだが、王国軍の中に魔物がいたということと、王国軍の兵士が魔物になっていたという事実に領軍の兵たちは動きが悪くなっている。


 一方クロードの方は、予定通り作戦が成功したことで喜びを感じていた。

 そして、魔物たちに指示を出すと、王国軍兵士の死体を盾にし領軍を攻撃するように指示を出した。

 領軍の兵は次々と倒れていく。


(これはまずい! なんとかせねば……。しかしどうすればいい?)


 レイスは考えるが、この状況を覆す策が思いつかない。

 そこへ、クロードが話しかけてくる。


 グルアァー!!


 レイスはクロードの言葉を聞く。


(なんだと…… 貴様がやったのか? なぜだ!?)


 レイスは心の中でそう叫ぶ。

 クロードはさらに言葉を続ける。


「お前は、私が誰だかわかっているのか?」


 レイスはその問いに答える。


「ああ。わかっているとも。私にとっては憎き相手だからな」


 クロードはそれを聞いて笑いだす。


 グオオオー!!


 周りの魔物たちも笑っていた。レイスは、その場で


「何を笑っておる!!」

 と叫び、クロードを睨みつける。

 クロードは、レイスの視線を受けながら言葉を紡ぐ。


「私は、確かに王国を混乱させた。だが、王国を滅ぼしたわけではないぞ。この国は生まれ変わったのだ! 王女カーミラを頂に置き、、新たな国として生まれ変わる!」

 レイスは怒りの形相を浮かべる。

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