第160話 タラート15
「貴様ぁ! やはり貴様は化物だ! 王国を滅ぼすつもりか!」
「ふっ。もう遅い。すでに手遅れだ。私の計画は最終段階に入っている。今さら止めることなどできぬ!」
「ふざけるな! この国に暮らす民のことを思えば、そんなことはさせぬ!」
「ふんっ。今更そんなことを言っても無駄だ! もう止まらぬわ!」
側面から攻撃を仕掛けたクランス部隊が王国軍本陣に近づく。
激しく混乱している戦場で、三者が相まみえることになる。
「クロード…… 本当にあなたはクロードなのか?」
声を上げたのはクランス王子だった。
「王子よ。久しいのう。まだ生きていたとは驚きだ。お前には感謝してる。おかげで計画が順調に進んでいるからな」
クロードは、クランスに向かって笑いかける。
クロードの答えを聞いたクランス王子は、剣を構え、クロードに向かう。
「王子! いけません。行ってはなりませぬ!」
レイスが叫ぶ。
しかし、その制止の声は届かず、クランスはクロードに斬りかかる。
クロードは、その攻撃をひらりと交わすと、剣で応戦する。
キィーン!!
金属音が走る。
「クロード叔父。本当にあなたなのか? 王族の中でも正義感が強くあなた自身が正義たり得ようとしておったではないか!」
キーンッ!!
「ほう? クランスか。貴様生きておったのか?」
クロードはクランスを赤い目で見つめる。
「っく! そうだ。俺は生きている。そして、俺の国を守るために戦う!」
クランスは再び攻撃を仕掛けるが、クロードはそれを軽くあしらうと、クランスを吹き飛ばす。
「くそぉ! まだまだだ!」
クランスはすぐに態勢を整えて、再びクロードに攻撃を仕掛けるが、またもやクロードによって一蹴されてしまう。
その光景を見たレイスは、絶望していた。
(なんなのだ? あの力は…… それにあの目、あの禍々しい魔力は一体…… これがクロードだというのか? こんなことが……)
「ふん、少しはやるようになったな、クランス。私が相手をしてやった頃より幾分ましになっておるようだ」
「いうな! お前はクロード叔父などでは決してない。 今さらそのような姿で何を望むのだ! 王国を滅ぼそうとしているのか! それがお前の本性だったということか!」
「違う! 私ではない! 私は…… 私の意思など関係ない! ただ、この世界をあるべき姿に戻すだけだ!」
「戯言を抜かすな! 貴様がこの世界を変えようとしている、だと? お前が、この世界に混沌をもたらす悪魔だということか?! ならば私は貴様を倒すために、ここまで生きてきたのだということになろうな!」
「できるものならやってみろ! 所詮貴様は、王族の一部にしか過ぎんのだぞ! その程度の力で我を倒せると思うな!」
クランスとクロードの戦いが繰り広げられる中、領軍では、魔物たちが暴れまわり、王国軍兵士の死体を盾にしながら、領軍に攻撃を加えている。
クランス部隊の健闘もあり、魔物化した兵たちの無力化も進んでいるが戦況はこう着している。
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