第156話 タラート11
「さらに、先日、私の部下が鉱山都市へ行った際、街が襲撃を受けているとの情報が入っています。幸い死者は出なかったようですが、かなりの被害が出ているようで、街の機能は麻痺しています」
「なに? 鉱山都市の街が襲われただと?」
悔しそうにレイスは机を叩く。
「はい、そこで我々はこの街の戦力だけでは領都の守りに不安があると考え、他の街からの応援を要請することに決めました」
「ふむ、確かに我々も領都への増援は考えていた。しかし、どこも似たような状態だぞ」
「ええ、ですから私たち冒険者ギルドも独自に動くことにしました」
「ふむ、独自でとは具体的にはどうするのだ?」
「はい、私たち冒険者ギルド、冒険者は自由の象徴です。今回の件については領側からの強制依頼ではなく、あくまで冒険者ギルドとしての自主的な協力となります。また、ギルド職員にもある程度の戦闘能力を持つものを配置しておりますので、冒険者ギルドの兵力を増強することが可能となっております」
それを聞いて、レイスは少し考えた後で答える。今回の件は一刻を争う事態である。
ギルドマスターの言っていることは非常に理に適っている。冒険者が勝手に動いているということであれば、冒険者ギルドが責任を取る必要もない。
もし仮に問題が起こったとしても、ギルドマスターの独断ということで済ませる、ということだろう。
そしてレイスには、どうしても欲しいものがあった。
魔道具による結界を破ることができるかもしれない武器や防具の存在だ。
レイスは悩んだ末ギルドマスターの提案を受け入れることにした。ギオルゴに対して、冒険者ギルドの協力に感謝する旨を伝え、これからの対応について話し合うのだった。
合わせてタラートの門の警備を強化を行うとともに、冒険者たちを領都の防衛に参加させることになった。
「それでは、私は冒険者たちを待たせておりますので、これで失礼させていただきます」
そういうとギオルゴは部屋を出ていった。
レイスはその後、すぐに行動を開始する。まずは、領の調査団のメンバーを呼び寄せると、状況を説明する。そして、領都にあるすべての武具屋に、黒い霧に関連する導具もしくは書籍を探してくるように改めて手配させた。
レイスは、冒険者に貸し出している装備の中に黒い霧に対応できるものがあることを確認していた。だが、それらは数が少なく全員に持たせるわけにもいかずそれ以外の手段を探す必要があった。
調査団の団員たちと冒険者に捜索を任せることにした。
数日後、ついにクロードの率いる軍勢がタラートの町の眼前まで迫ってくる。
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