第152話 レイス領堺01
――――――数日前:レイス領境付近
全身を黒い鎧で覆われたクロード王と魔物、後ろには王国軍の旗が見え、王国兵約1000の姿がレイス領の入口にあった。クロード王は、黒い大剣を抜き構え、黒い鎧の隙間から赤い目が光る。
クロード王が動きだすと同時に大地が激しく揺れ一歩進むと地面が大きく陥没する。クロード王は、一瞬にしてレイス領の守備兵士に近づくとその首を跳ね飛ばした。兵士の首が宙を舞うと、周りにいた兵士が驚き声を上げる。
クロード王の後ろから黒いローブを着た男が叫ぶ。男の周りには数十人の魔術師がいた。男は、クロード王を見つめている。すると、男の背後からさらに二体の魔物が現れた。一体は大きな角を生やした鹿のような姿であった。もう一体は大きな角が生えたサイの様な姿をしている。
突然現れた魔物に、守備兵たちは動揺し、目の前にいる魔物に対して何も出来ずただ立ち尽くしていた。
鹿とサイの魔物が領門に向かい突進する。だが、門の手前まで来たところで何か見えない壁にぶつかったかのように急停止する。
魔物の突進が止まると、クロード王はゆっくりと歩き出す。そして、一番近くにいた鹿の魔物に手をかざすと鹿の魔物が黒く光りはじめ、領門に向かって再度突進を始める。先程と同じように見えない壁のようなものに当たり、再び動きを止める。今度はサイの姿形をした魔物が同じように突進するが結果は同じだった。
それを見ていたローブの男は大きく息を吐き肩を落とす。
クロード王は、ローブの男に何かつぶやいている。
その後、黒いローブの男が何かを唱え始めると防衛魔法に近づき両手をかざすと、防衛魔法にヒビが入り始める。領門は防衛魔法を発動させそれによって守られている。外敵が現れた際に発動し攻撃を防ぐようになっているのだ。その魔法は強固なもので、並大抵の攻撃で破壊することは不可能だ。しかし、今まさに、領門前に立っている男はその魔法の効果を打ち破っている。
ローブの男はクロード王に近づきながら言う。
「クロード様、このくらいでいかがですか? これでこの魔物達でも破れるのでは?」
「……」
クロード王は無言のまま手を振り、魔物達に突進を促す。鹿とサイの魔物は再び領門に向かって突進し、先程の障壁にぶつかり止まろうとするが、今度は止まらなず、そのまま領門を突き破り侵入に成功し、そのまま領内への侵攻を開始する。
ローブの男は、大きく息をつくとクロード王に言う。
「クロード様、あの者たちはこのまま放っておいても大丈夫なのでしょうか?」
クロード王は、ローブの男の方を向くと、口を開く。
「奴らはこの程度なのか?」
「まあ領門を守る兵も決して弱いとは言えないのでしょうがねえ……」
「ふむ……」
「このまま蹂躙せずに領都を目指します?」
「うむ……」
ローブの男の提案を聞き、クロード王は考え込む。
クロード王の視線は、領門に入っていった魔物に向けられていた。
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