第111話 ルブスト 23
―――冒険者ギルド:ギルマス執務室
「お兄ちゃ…… マスター。 一体どうなってるんですか?!」
「ん? 何の話だい? ジーニー」
「ナンギ鳥ですよ! ナ・ン・ギ・鳥!!」
「ああ、どっかに逃げちゃったんじゃないかなあ?」
「そんなわけないでしょう!!! いい加減にしてください! それにあのイースって人も!! あれから全然現れないじゃないですか!! ちゃんと説明を受けるまで今日はここを動きませんからね!!」
「うーん、イースねえ…… あの人も旅に出たんじゃないかなあ??」
「まだ言いますか!! ほんっとうにいい加減にしてくださいよ!!」
「そんな殺し屋の目をしなくても…… あ、はい。すみません。 ジーニー。 ここから先は本当に口外しないと約束してよ? ここからは兄妹として話す身内の話だからね、絶対に口外しちゃだめだよ?」
「もちろんです!! 早く教えなさい!!」
そう言って兄(ギルドマスター)は話始める。
――――――
冒険者ギルド受付でマスターの妹であるジーニーは驚きを隠せなかった。
まず、ギルドにやってきたイースという人物。これは完全に偽物そんな人物は存在しない。正体は情報ギルドの一員でマスターも本名は知らない。まあそうでしょうね。
この人(?)というか情報ギルドが作り上げたナンギ鳥という魔物を討伐すると見せかけてベティル商会と教会の悪事を暴くことが今回の目的で、そのために情報ギルドに協力してほしいと依頼されたという。普段ならそんな怪しい話には乗らないと思うんだけど、冒険者ギルドだけでは知りえない王国の情勢などの情報を情報ギルドは扱っていて、その情報ギルドの信頼できる人からの紹介っていうことと、いままでベティル商会と教会から冒険者が受けてきたひどい処遇に関してやっぱり兄も怒っていた、ということも大きかったようだ。
冒険者ギルドが協力して、ナンギ鳥を街に出現させたり森に出現させたり(まあ森の出現は冒険者に喋らせただけらしいけど)ひどいのはベティル商会会長の誘拐・監禁・記憶の操作…… ほんとにひどい…… これは兄自ら行ったらしいので私は口が裂けても他人には喋れない…… 兄の方はあっけらかんとして、「悪いことした奴が悪いよね!」って言ってたけど誘拐拉致監禁と記憶操作って言葉にすると本当に悪い事だけど…… と心配になった。
あとは情報ギルドの流す情報に合わせて冒険者が噂を広める役割を担ったり…… これは特に何か動いたわけではなくて冒険者たちが酒場やなんかで勝手に広めてくれたらしい。むしろ統制するほうが大変だったって笑ってるし。
そして討伐の日。冒険者の多くは兵士と共に森に向かって行ったけど、その段階で高ランクの冒険者たちは何が起こるか知ってたみたい。街に残る冒険者たちとも打ち合わせが済んでたみって。 受付の私が知らないのになんで冒険者たちが知ってるのよ! と思ったけど、冒険者同士で動いてることの方が多いんだものね、そうだろうさ。
そしてやっぱりあのイースのことが気になるんだけど、兄の話では情報ギルドで「タイークイース」って呼ばれてる人らしいんだけど
そう思っていると兄が急に真顔で話しかけてきた。
「ジーニー。ここまで話したけど、これは本当に危険なことなんだ。これから王国の情勢が大きく変わる。その時にこの領、冒険者ギルド、私は、ジーニーは何を正しいとするのかしっかり考えておかなきゃいけない。そしてね、タイークイースっていう名前はしっかり覚えておくんだよ。ここからこの名前が表に出てくるからね。んでまあ、この話をしちゃったから、有無をも言わさずジーニーもこっち側になるんだけど、仕方ないよね?」
と言って笑っていた。
そんな重大な話だったの?
この話……
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