第95話 ルブスト 07
「クロード王は謀反を起こしたバルバロッサ伯爵討伐に失敗、レムサから進軍しストビーの町で両軍が激突しそこで戦死したって話だ。しかし問題なのはここからだぞ、ノア。バルバロッサ軍の兵士はほとんどが魔物だったって話なんだ」
「なっ!? 本当か? そんなことが可能なのか?」
「そうなんだ…… 情報筋からの信頼できる情報だ。んでな、バルバロッサ軍はそのまま新王都レムサを目指し進んだんだがな、新王都レムサに入る際には王国の体制を変え新王カーミラを置くと宣言をしたんだ」
「はぁ?! それで? そのあとは?」
「ああ、そこからは詳しくはわからんのだが、そのあとすぐにカーミラは王となり、そして王国軍はそのまま新王都レムサに入り、その日のうちに城に入ったという話だ」
「そうか…… でもどうしてこんなに情報が遅いんだ? もっと早くに知れ渡っていてもいいはずなのに」
「そりゃ、情報規制だろ。その情報を国民に知らせたらパニックが起きるからな。ただ、俺のところには少しだけ漏れている部分がある。その話を要約するとこうなる。
まず、新王都レムサは今現在、魔物の住む町になっているらしい。そしてその町の長はバルバロッサがつきそのまま治めている。ここからは漏れ聞こえた噂、眉唾ものだがな、新王都レムサの国王となったカーミラが実は人間ではない、とか、新しい王には人間の血が一滴も入っていないとか、わけがわからねえし信憑性もない」
「なるほど、だから情報統制しているわけか…… しかし、この話が真実なら、やはりあの時見た光景は現実だったということだな」
「ああ、おそらく間違いないだろうな。そしてこれから起こることも……」
「そうだな。しかし、ゾステファノス? か。奴らの目的は何なんだろう? 俺達から何か奪うつもりだろうか? それとも世界征服か? いや、まさかなあ。とにかく奴らの目的がわからない以上、警戒するしかないか」
俺はメイテの方を見る。すると彼女は静かに首を縦に振った。どうやら彼女も同じ考えのようだ。俺はその後、ライマンからさらに詳しい情報を聞いた。
ライマンが持っている情報はそこまで多くないようで、まだまだ隠された情報はあるようだった。
とりあえず分かったことは、
・ゾステファノスの狙いは不明だが人を魔獣化している組織があること
・その魔獣は人型との両方に姿を変えることができるということ
・カーミラがゾステファノスの組織とつながっていること
十分すぎる収穫だ。
最後にライマンは、
「俺たち情報屋組織は今後地下にもぐることになるだろう。表立った行動はできなくなる。で、今後なんだが…… ノア。俺たちの組織にお前の情報は共有する。なのでお前はお前の動きたいように動いてくれ。俺たちからの接触はいままで通りライマンとタイークイースの暗号で行う。それ以外は偽物だ。十分に注意してくれ。それから…… 何か困ったときにはラステアに来てくれ。ラステアは行ったことあるんだよな? そこの3番通りのフランコリッコの酒場に来てくれればいつでも対応する。ラステアのレイス伯爵はわかっていると思うがこっち側、味方だ。リリアナ嬢ちゃんのことはあるが…… それでもお前に頼ってほしいと思っている。いいか、忘れるな。お前が相手にしようとしているのは国そのものになっちまったんだ。 慎重に動けよ、いいな」
別れ際、ライマンは俺に忠告をし、握手を求めてくる。
俺は礼を言い、握手を返しライマンと別れた。
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