第92話 ルブスト 04
ちょうどその時、部屋のドアがノックされる。
俺は、教会関係者が追ってきたのかと一瞬警戒する。
「おーい、俺だ、俺。ライマンだ。いるのか? タイークイース!!」
と聞こえ、ほっとする。
「大丈夫、俺の知り合いだ。ドアを開けるけど大丈夫?」
メイテさんが頷いたので、声をかける。
「ああ、今開ける。少し待ってくれ」
といってドアを開ける。
「よっ、久しぶりだな! お前がここに来てるとギルドで聞いて会いに来たぜ! ん? 誰だいこの別嬪さんは?」
「あ、はじめまして、私はメイテと言います。この度は危ないところをタイーズ?さんに救っていただき…」
「ああそうなんだ、ああ、もうノアでいいよ、なあ、ノア」
「ええ、メイテさん。ノアで大丈夫ですよ」
「はい、ありがとうございます。
改めてよろしくお願いします。
それと、私のことはメイテと呼び捨てで呼んでください。敬語も不要です……」
「わかった。じゃあ、俺のこともライマンでいい。よろしくな。メイテ」
と挨拶を済ませ、部屋に入ってきた。
まずライマンにメイテを連れてきた事情を説明した。
「そうか…… そんなことがあったのか…… かわいそうに…… 辛かったろうに…… よく耐えたな…… 偉いぞ!」
としきりに話しかけている。メイテは少し戸惑っているようだが、嫌がってはいないようだった。
メイテは、自分が魔獣を誘き寄せたこと、自分のせいで亡くなった両親、そして司祭のことを話した。
ライマンは黙って聞いていた。
メイテの話が終わると、 ライマンは考え込むようにうつむいていたが、やがて意を決したかのように口を開いた。
「ノア、すまんがお前に渡す情報、メイテにも聞いてもらいたいんだが…」
「ちょっとまて。その話をいますることじゃないだろう! なんでメイテにも」
俺の言葉を遮るようにライマンは言葉を放つ
「これはな、ノア。この話はお前のために持ってきた情報だ。だがな、今の話を聞く限り、メイテにもかかわる、いや、聞かなければいけない情報なんだ。わかってくれ、ノア」
真剣なまなざしでこちらをまっすぐ見つめるライマンを止めることなどできない。
俺が頷くとそのままメイテの方を向き
「メイテ、これから話すことはとても危険なことだ。そしてこれを聞いたらもう今のままの生活は続けられない、その覚悟があれば俺はお前にすべてを話すが、どうだ?」
メイテは驚いた様子でライマンを見つめる。そして
「ライマンさん。私はすでにこの街… いえ、この生活を変えようとしています。私には教会やこの街のことなんて大きなことを考えられませんがそれでも、今からライマンさんが話してくれようとしていることは今までこの街で過ごした私に関わる事なんですよね? 私の大切な人たちがなぜいなくなってしまったのか、私はそれを知りたいです。両親がどうして亡くなったのか、何があったのか、そして教会が何をした
のか…。」
と静かに言った。
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