第73話 シラリ 02
「はああああーー!!」
ザシュザシュザシューーン!!!
ロッシュの剣から放たれる斬撃により、周囲の魔物が一気に吹き飛ぶ。
そして、そのまま次の獲物を求めて進み始める。
「ハァ…… ハァ……」
(きりがないな… このままではまずい…)
そう思うが魔物が次々と現れその対処に追われ新たな手を打つ暇がない。
「ロッシュ! ちょっといい? 」
ロッシュは、声を掛けてきた女性を見る。
「なんだ?」
「このままじゃジリ貧になるわ。だから、一度撤退しましょう」
「撤退だと!? それこそ無理だろ! この状況でどうやって撤退するんだ!」
「それは……」
その時、ロッシュは、魔物の群れの中から一際大きな気配を感じ取る。
「まさか……」
その予感は的中した。
「ガオオォォオオッ!!」
魔物の群れの先頭に立っていたのは、3年前にロッシュの娘を死に追いやったあの巨大な蜘蛛だったのだ。その姿を見てロッシュは言葉を失う。
(くそったれめ…… なんでこんな時に……)
ロッシュはその光景を見て、一瞬足を止めてしまう。その隙を逃すまいと、蜘蛛が攻撃を仕掛けてくる。
ドゴーン!!
その攻撃を間一髪で避け、体制を立て直す。
「危なかった…… すまない…… 油断していた……」
「大丈夫よ。それより今は戦いに集中して!」
「そうだな…… よし! みんな! 聞いてくれ!」
ロッシュは仲間に作戦を伝えると、再び戦闘を開始する。ロッシュと仲間たちは、魔物を倒しながら後退し、森の奥深くへと移動していく。ロッシュの予想通り、魔物の数がどんどん増えていき、次第に魔物の集団に取り囲まれる形になる。
「どうやら…… 追い込まれたようだな……」
ロッシュたちは、四方八方を魔物に囲まれる形となった。
(さすがに厳しいか……)
ロッシュはそう思いながらも、仲間を信じ最後まで戦う事を決意する。
「皆!! もう少しだけ頑張ってくれ!! 必ず突破口を開く!!」
「任せて!! 絶対にこの包囲網を突破しましょう!!」
ロッシュの言葉に応えるように仲間達が声を上げると、魔物の大群を相手に立ち向かっていく。ロッシュと仲間達は、魔物の集団と死闘を繰り広げていた。
ロッシュの仲間の一人が
「はぁああっっ!!」
ズバッ!!
「ギィイイーーッ!!」
仲間の剣が魔物を一刀両断にする。その勢いのままロッシュの隣にいる魔物に切りかかる。その剣は魔物の首を捉え、胴体と切り離された頭部が宙に浮く。
「グルルルル……」
ドサッ!
その瞬間、仲間の背後にいた別の魔物が仲間の首筋に噛みつき、肉を引きちぎり絶命させる。
「しまった!! おい!!」
ロッシュは慌てて、その仲間の元に向かうが間に合わず、その魔物の周りの魔物も仲間の躯に噛みつき始める。
「ガアァァッ!!」
「グォオオンン!!」
「ガアアッ!!」
仲間は、瞬く間に数匹の魔物によって食い尽くされる。ロッシュは、その光景を目の当たりにし、怒りの感情を抑えきれずにいた。
「貴様らぁああっっ!!」
ロッシュは、剣を振り上げ、魔物の集団に飛び込んでいく。目の前の魔物を斬り伏せると、背後から飛びかかってきた魔物を回し蹴りで迎撃する。
「グルルル…… ガァッ!!」
魔物は、吹き飛ばされるが、すぐさま体勢を立て直し、ロッシュに向かってくる。ロッシュは、その魔物に向かって突進するとすれ違いざまに、魔物の腹に剣を突き刺す。
「グギャャヤヤーー!!」
魔物の悲鳴と共に、剣が突き刺さった箇所から血が吹き出す。そして、その魔物はそのまま倒れ込み動かなくなった。
「ふぅーー……」
ロッシュは息を吐き、次の魔物に向かって走りだす。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます