4章 転機
第83話 ナンギ鳥
その︵怪しき鳥現れ、悲︶︵声で︶。これ定テ深き意味のアル事︶︵へけれともその次第をしれるもの更ニなけれバ
人びと︶︵あやしみけり。その︵かなら︶︶︵ひあたる事たるへし
出典不明
626年 キールの乱の前年、エルキーポ神聖国にあるナンボの町が大地震に襲われた。大地震の後、ナンボの遊郭の真上ならびにその付近の町辺りに怪しい鳥が現れ、ひどく哀れな声で鳴き始めたという。その後、諸々の人たちが復興のためにナンボの町に集まり、酒盛りをしていたところ、この鳥が現れては舞い上がっていく姿を目撃する。不思議な出来事で、何か深い意味があることと思われたが、子細を知る人は誰もいない。居合わせた人々は大いに怪しみましたが、後々必ずこれがキールの乱の予兆であったと思い当たると伝えられる。
難義鳥の身体を構成する品はいずれも災で家や仕事を失って難儀した者たちの道具だと言われ、たとえば目は楽焼の茶碗、嘴は蓋付きの椀、鶏冠は茶筅、首回りの羽毛は櫛と簪、翼は書物・巻いた反物・算盤、鯰を掴む足は反物、尾羽は櫓と高下駄とな言われている。また、胴の模様は神聖国より興行の公認を得ていた一座の紋である。
難義鳥が飛来したという地域は地震の被害が特に大きかった地区で、酒盛りをしているのは復興景気で懐が潤った者たちであった。
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