第49話 レムサ領領内の森 06
次々と襲ってくる黒いモヤを魔法で吹き飛ばしながら、森の奥へと進んでいく。
少し開けた場所を見つけるとそこで一旦止まる。
リリアナは辺りを警戒しつつ、ノアたちと合流するために移動を開始する。
リリアナとエレナが走り出した瞬間、茂みの中から黒い矢が飛んでくる。
それをリリアナたちはギリギリ避ける。さらに続けて数本の黒い矢がリリアナたちに向かって放たれるがそれを全て回避すると一気に加速する。
そして、そのまま黒いモヤを吹き飛ばす。黒いモヤが霧散し、リリアナたちの前にはパリーとノア、アベルの三人と冒険者のレイナが立っていた。
合流すると5人で背中を合わせるようにして黒いモヤと対峙した。黒いモヤは次々に現れ、リリアナたちを襲ってくる。リリアナたちは応戦するが、倒してもすぐに復活してくるためキリがなかった。
その時、森の方から大きな音が聞こえてきた。
ドゴォン!!!
その音はどんどん近づいてきており、ついに姿を現した。
現れたのは黒いモヤに包まれた蜘蛛のような生物だった。
体高5メートルはあるだろうか?
全身が真っ黒な色をしている。
その大きさに圧倒され、身構えたまま動けない。
「パ、パリー隊長……」
ノアが絞り出すような声で話しかける。
その声を聞いて、我に帰ったのか、慌てて指示を出す。
【光よ、敵を貫け!!】
パリーは光の初級魔法を放った。しかし、それは簡単に弾き返されてしまう。
弾かれた魔法を気にせずそのまま唱え続ける。
【光よ、我が敵を打ち抜け!】
光の中級魔法を唱え、蜘蛛に放つ。
しかし、それも弾き返される。
それを見たレイナが叫ぶ。冒険者のレイナは俺たちの連携の邪魔にならないようにサポートに徹している。
【土よ、我が敵を拘束せよ!!】
地面に手をつき、詠唱をする。地面から無数の土の手が生えてきて、黒い物体を捕まえようとする。しかしすり抜けるだけで掴むことができなかった。
その間にも蜘蛛はゆっくりと近寄ってきており、あと数メートルというところまで迫っていた。
【風よ、切り刻め!!】
パリーが魔法を唱えた瞬間、風の刃が現れて蜘蛛を切り裂く。その攻撃により、蜘蛛の体に傷がつくが、次の瞬間には全て再生してしまう。
パリーが悔しそうな顔をしていると、リリアナたちも魔法を放ち始めるが、やはりどれも効いている様子はなかった。
黒いモヤは徐々に集まり、巨大な塊になると形を変えていく。
それは人のような形になり、頭の部分ができあがるとリリアナたちに視線を向けた。
リリアナたちは一斉に距離を取り、戦闘態勢に入る。
次の瞬間にはその黒いモヤが襲いかかってきた。黒い腕が伸びてくると、その先端が刃物のように鋭く尖りながらリリアナたちを襲う。その攻撃をなんとか避けたが、後ろにあった木が無惨にも切断されていた。
その光景を見て、リリアナはゾッとする。
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