第47話 レムサ領領内の森 04

 森をもうすぐ抜けるという場所で野営を行うことになった。この辺りの地形に詳しいレイナが指示を出し、テキパキと準備を進める。

 準備をしている間、レイナは気になっていたことを質問してみた。


「あの、皆さんはどうしてレムサに?」


「ああ、それはですね。コルダラ城塞都市での捜査で…って申し訳ありません、これ以上は…」


「あ、はい。でも、コルダラなんてここからかなり離れていますけど…レムサの事件も関係があるのですか?」


「ええ、詳しいことは申し上げられませんが、我々はそう考えて行動しています」


「そう、ですか……」


 それ以上は深く聞くことはできなかった。


 日も暮れてきて、夕食の準備に取り掛かる。料理はリリアナとエレナが担当してくれることになり、レイナ達はテントの設置などを手伝う。




 その時、森の中から気配を感じる。

 各所にいた騎士たちも気配を感じ取ったようですぐに剣を抜き臨戦態勢をとる。ノアとアベルが森に向かって走り出そうとするがパリーがそれを制止した。

 

 リリアナが小声でエレナに合図を送る。エレナもそれに合わせるように小さな声を出す。二人は目線を合わせると、小さくうなずき、その場を離れた。

 野営地から離れ、少し開けた場所を見つけると森に向かうように並び立つ。

 相手の出方を伺っていると、リリアナが先に動き出す。

 それを見たエレナは手に持っていた杖を両手で持ち、森に向かって魔法を唱える。


【光よ、我が意に従い、彼の者を拘束せよ!】


 エレナの周りに光が集まり始める。

 その光を感知したのか森の中から矢のようなもの数筋飛んでくる。

 それを見たリリアナがすかさず動く。


【風よ、我が盾となりて我を守りたまえ!!】


 呪文を唱えた瞬間、風の障壁が現れ矢を防ぐ。

 その隙を逃さず、エレナは再度魔法を放つ。


【光よ、我が命を聞き、敵を撃ち抜け!!】


 リリアナの背後からエレナの放った光の刃が飛び出し森に向かっていく。

 リリアナはそれを確認すると、身体強化を使い森に飛び込もうとする。


 すると森から黒いモヤが現れ、エレナを捕らえようと向かってきた。

 その攻撃をリリアナが切り払うと、モヤはそのまま霧散していく。


 しかし、今度は別の方向からも黒いモヤが現れる。

 それを見て、リリアナは大きく後方にジャンプし距離を取る。

 着地と同時に、黒いモヤが一気に襲ってくる。

 それを避けながらリリアナが叫ぶ。


【炎よ、全てを焼き尽くせ!!】


 リリアナが呪文を唱え、炎の柱が伸びていく。

 その攻撃により、周りの黒いモヤは一瞬で蒸発した。

 エレナはリリアナの援護のおかげで無傷で済んだ。


 リリアナは再び森に向かい、攻撃を仕掛ける。

 しかし、またもや森の中から大量の黒いモヤが出現しリリアナを襲う。

 リリアナはそれに応戦しながら、森の中に入って行く。

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