第45話 レムサ領領内の森 02
「大丈夫ですか?! ってそれよりも! このオーガ、倒しちゃっていいですか?」
若い男性騎士二人と女性騎士が駆けつけてくれた。私は硬くなった体をなんとか動かし頷いた。
「はい…… 問題ありません…… ありがとうございます」
「それなら良かったです! あとは僕達に任せてください!」
そう言うと、二人の男性騎士はオーガに向かっていった。その動きはとても素早く、とても力強いものだった。一人の騎士は長剣を振りかざし、もう一人は双剣を構えている。二人の連携によりオーガの動きは徐々に鈍くなり、最後には動かなくなった。その様子を見て安心したのか、レイナはその場に崩れ落ちた。
(よかった…… これでまた戦える)
安堵しているところに一人の女性が駆け寄ってきた。その女性は騎士ではないようだが、騎士たちに同行していた人のようだ。レイナはその顔に見覚えがあるような気がしたが思い出せなかった。
私の視線に気付いたのか、その人もこちらを見つめてくる。
「あの、どこかでお会いしましたでしょうか?」
レイナの言葉を聞いて、女性の表情が変わる。
「えっと、そうかもしれませんが…申し訳ありません、どちら様でしょう? …覚えが…」
と困った表情をする。
「あ、いえ、なんでもないんです。助けてくれて本当にありがとうございました」
レイナは再び立ち上がると、深々と
「本当に助かりました。もしあなた達が来ていなかったらどうなっていたことか……」
感謝を伝えると、もう一人の男性騎士も近付いてきた。
「あー、すみません。一応、討伐確認のために死体を確認したいのですがよろしいでしょうか?」
「はい、分かりました」
レイナが了承すると、二人はオーガの死体を確認し始めた。
「ふむ、やはり間違いないようですね」
「このオーガはレイナさん一人で?」
「ええ、私一人で対処できると思ったのですが…特殊個体だったようで…」
すると緑髪の青年が
「特殊個体ねえ…まあ確かに特殊だよなあ」
ともう一人の茶色い髪をした青年に話しかける。
「そうだね。まさかオーガがあんな能力を持っていたなんて……」
「ああ、しかもこんなところにもいるとはな」
レイナには二人が何を言っているのかさっぱり分からなかった。
「あの、一体なんの話をしているんでしょうか? それに、このオーガは一体何なのでしょう?」
レイナの疑問に答えたのは、茶色い髪をした男性騎士の方だ。
「これは失礼しました。まずはこのオーガについて説明させていただきます。このオーガ、黒いモヤのようなものが出ていませんでしたか? そうだなあ、そうだとすると名前はイビルオーガとでも言いますか、通常よりも強い力を持っている特別なオーガだということになります」
聞いたこともない名前のオーガだった。
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