第40話 コルダラ城塞都市 07

 本部に戻るとすぐにパリー隊長に報告する。


「それで、何かわかった?」


「はい、連続殺人事件については噂話の域を出ませんが侍女のことはずいぶんわかってきました。肝心のマーチムさんの行方は分かりませんでした。でも、バルバロッサ・ドゥプレ子爵についていろいろな話が聞けました。まず、彼はこれまでずいぶん悪さをやっていたようです。それが最近急に変わったそうです。おそらく、先日の事件で何かあったのではないかと思われます。それと、子爵家の侍女カミラですが、マーチムさんと親密な様子だったことは間違いないようです。しかし、その侍女カミラは現在子爵家にはおらず、レムサの街に移り、子爵家の立ち上げた商会に関わっているようでそちらに滞在しているのではないかとのことでした」


「なるほど。バルバロッサ子爵の悪事が発覚するきっかけになるかもしれないということね。でも、それだけでは証拠にはならないわ、もう少し何か情報が欲しいわね。引き続きお願いできるかしら?」


「はい、わかりました。ところで、子爵家は魔道具を販売しているとのことでしたが、それはどのようなものでしょうか?」


「それについてはよくわからないけど、現状、公爵家とつながりのある所に卸しているそうよ。」


「そうなのですね。しかし本当に実用化されていたんですね。」


「ええ、そのようね」


 そういうと一呼吸おいて


「まずは今の情報を領主に報告をあげるわ。近々にその商会に行ってみましょう」


「すぐに行きたいところですが…… わかりました」



 俺達は捜査隊本部に戻り、捜査隊のメンバーにも情報を共有する。

 リリアナとエレナにも情報を共有する。


「バルバロッサ子爵が改心した? そんなわけはないですよね? 今まで散々悪いことをしておいて、商会の息子を一人殺害したからと言って…… あ、殺害と決まったわけではないのですが」


 リリアナは納得がいかない様子でつぶやいている。


「はい、その通りですね。その子爵が今回、魔道具を販売し始めたことも気になります」


 エレナも何か引っかかっているようだ。


 二人には、どちらにしてもパリー隊長が領主に報告をしてからレムサに向かうことになるため、それまではこれまで通り、殺人事件の捜査とマーチムさん失踪事件の情報を集めることになると伝えた。

 俺は、今日一日は情報収集のために街に繰り出そうと思い、アベルに声をかける。


「じゃ、俺たちはちょっと出かけてくるよ」


 というと


「はい! 行ってらっしゃいませ! 私たちももう少し街で情報を集めてみます」


 とリリアナとエレナも元気に答えた。

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