第33話 レムサ 04
カーミラはまず力をつけるために金が必要だといった。そしてそのため新たに提案してきた。それが魔道具事業だ。魔道具は、この国の発展のために必須だと思っていたがなかなか実現できずにいたのだ。しかし、カーミラは素晴らしいアイデアを提案してきた。
それは、この国で作られる魔石を利用した商品を作成すること。
この魔道具は生活必需品になるだろう。これまで王国内であらゆる技術研究が行われてきたが、魔石は燃料や魔法の媒体、換金用として使用されるだけで道具として魔石を使用する技術は確立されていなかった。遺物として存在し、王国立古代遺物研究所では研究も進められているが実用化にはまだほど遠い状態だ。
しかし、それがここに形となって置かれている。
この事業を立ち上げる際、いや、ずいぶん前からコルダラ城塞都市でドゥプレ子爵、バルバロッサ達は技術者、研究者を雇い入れついに結果を出したのだ。
さらに、この魔道具全てをドゥプレ子爵の商会で扱うという。この国で販売される全ての商品がこのドゥプレ子爵の商会を通して販売されるようになる。そして商会をレムサ領に置き、作成から販売までをこの領で行う。これにより、この領の経済は活性化する。この魔道具の流通が増えれば、それだけ多くの貴族に影響力を持つことができる。つまり、この国における貴族の力は弱まり王族の、いや私の力は強まる。この領は変わるのだ。
この画期的な案を私に持ってきた時の彼女の笑顔はとても眩しかった。私はこの話に飛びついた。
そして、さらにカーミラと共に新しい事業を始めることにした。
カーミラが言うには、この国を変えるためには、新しいものを生み出す必要があるらしい。そして、この国の文化に新しい風を吹き込む必要があると言う。
新しいものを作るためには、新しい知識や技術が必要になる。カーミラはそういった分野にも詳しい。
カーミラは、この国を良くするために、この国を変えようとしている。
なぜ、そこまでこの国のことを想うのか分からないが、私はそんなカーミラの想いに応えたいと思った。私は、カーミラがこの国を変えていこうとしている姿を見ているうちに、自然と彼女と同じような考えを持つようになっていた。
カーミラの考えていることを理解したかった。
彼女の考え方を真似てみたくなった。
私は、カーミラと一緒にこの国の改革に取り組むことを決めた。私もカーミラと同じようにこの国を変えていくことに決めたのだ。
そして、カーミラは私にとって特別な存在になっていった。
ただの下級貴族の娘のはずなのに……。
なぜか、いつも私の心を掴んで離さない。
そして、彼女が私に微笑む
「ふふっ、あなたならきっとこの国を変えられますよ。」
その言葉を聞いて私は確信した。
私はこの国の王になるべき男なのだと。
私が王になれば国は変わる。
この腐った国は私が変えなければならないのだ。
だから、私は王に成らねばならない。
この国を変えるために。
私は王になるのだ。
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