第32話 レムサ 03
「ふっ、何も分かっていないのは貴方の方ですよ。この国の真実を知らないようですね。では、教えて差し上げましょう。いいですか、よく聞いてください。この国は、すでに終わっています。もうすでに腐りきっている。この国がここまで衰退してしまったのは全て貴族たちの横暴によるもの。民は苦しんでいる。もう我慢の限界です。今こそ立ち上がるべき時が来たのではないでしょうか? この国を変えるために。」
私は驚きを隠せなかった。
この女は何を知っているというのだ? この国の裏側を……。
「何を言っている? 貴様は一体……」
私は思わず言葉を失ってしまった。
瞳が…… 気になる……
目が離せない……
彼女の瞳が揺れる……
彼女はゆっくりと口を開く
「この国の闇を知る覚悟がおありですか? もしあるならば、私たちについて来てください。そして、共にこの国を変えていきましょう。それができるのは、今しかありません。このままではこの国は滅びてしまいます。」
私は、カーミラの目を見てすぐに答えを出した。
「……分かった。私は、この国をより良いものにするために尽力しよう。だから、頼む! この国を変えたいのだ! 私の力だけではどうすることもできない。どうか……、力を貸してくれ!!」
頭を下げる私にカーミラは優しく声をかけてくれる。
「分かりました。それでは、これからよろしくお願いします。クロード殿下。」
ドゥプレ子爵が笑みを浮かべながらカーミラの前にでる。
こうして、我々は手を握り合った。
そして、その日を境にドゥプレ子爵と定期的に会うことになった。
正直、最初は警戒していた。ドゥプレ子爵の目的は不明だ。しかしそのことを考えようとするとカーミラの顔が脳裏に浮かんでくる。
カーミラの瞳が浮かんでくる。
またしばらく経つと疑念がよぎる。
カーミラの力は本物なのだろうかと。
しかし、実際に話すとそんな疑念はすぐに吹き飛ぶ。
彼女は非常に有能だ。今まで、何人も優秀な部下を雇ってきたが、ここまで使える人材はいなかった。
こうして私は次第にカーミラを手放せなくなっていく。そして、いつしか彼女無しの生活を考えることが難しくなっていた。
私は、彼女に心を奪われていた。
この国の腐敗の原因は貴族にある。
貴族が蔓延っている限り、この国に未来はない。
だが、貴族は簡単には排除できない。
特に、この国に古くから根付いている貴族はそうだろう。
ならば、まずはこの国を根本から変えるしかないだろう。
この国を変えるため、私は力を持たねばならん。
力を持つための方法をカーミラが教えてくれる……
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