第31話 レムサ 02

 彼女の容姿、動き、声そして瞳を思っているとドゥプレ子爵が話しかけてくる。


「王弟殿下、このカーミラに発言をさせても?」


 私は彼女に見とれながら許可をだす。


「ああ…、かまわない」


 私は彼女から目が離せない…



 一礼するとドゥプレ子爵の後ろに控えていたカーミラが話し始める。


「発言のお許しをいただきありがとうございます。まず初めに、本日は突然お伺いし申し訳ございませんでした。しかし、こちらとしてはどうしても直接王弟にお願いしたかったのです。」


「気にしなくてよい。それより本題に入ってくれ。貴殿は何を考えているのだ?」


「私…いえ、子爵様は、殿下のお考えに賛同いたしております」


「なに? どういう意味だ? 詳しく説明してくれぬか?」


 私が何を考えているかなどごく少数の私に近い話したことはない。それなのにこのカーミラは全てを知っているかのように私に話しかけてくる。


「はい、もちろんでございます。現在この国は、貴族による統治が当たり前となっております。貴族が国を動かしていると言っても過言ではありません。ですが、この国の現状を鑑みるに、その体制はもう限界を迎えております。この国の舵取りをするには貴族ではなく、王族の手で、殿下の手で行わなければなりません。そうしなければ、この国に未来はないでしょう。」


 確かに彼女の言う通りだ。

 貴族の横暴な行いによりこの国は疲弊し、衰退し続けている。


「何を言っておるのだ。私は王族で現国王の弟だぞ!! この私に謀反を起こせというのか!! 貴様ら、このまま捕縛してもかまわんのだぞ!」


 あえて荒ぶる私に彼女は冷たい視線を放ちながらさらに続ける。


「いいえ、殿下、お聞きください、そうではありません。あなたの父である前王陛下はすでに亡く、現王は数名のお子様がいらっしゃいます。しかし、王国建国時の意思を継ぐ者はおりません。そして、王は世襲制、次代の王もまた世襲でありこのまま貴族が支配する状態を続けていくでしょう。このままではいずれこの国は滅びてしまいます。そうならないためには、新しい時代を作り上げる必要があるのです。そのために、私たちは手を取り合う必要があると思うのです。この国を変えたいのであれば、協力するしか道は残されていません。」


「貴様ぁー!!!!」


 私は怒りに任せて


「黙れ!!! 貴様にこの国の何が分かるというのだ。この国のことは王族が決める。余計なことはしないでもらおうか!」


 すると、カーミラと名乗る女は不敵に笑いこう言った。


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