第37話 コルダラ城塞都市 04
俺とパリー隊長のやり取りを見ていたリリアナがフォローを入れてくれる。
俺が口を開こうとすると、それを遮るようにリリアナはパリーに話しかけた。
俺が驚いていると、リリアナが状況を簡単に説明し場所を変えて話し合いを行うことを提案してくれた。
さすがにやりすぎたか。アベルも呆れたように見てたな。
――
俺達は商会から少し離れた広場に移動して話し合いを行う。
俺達と捜査隊の面々は向かい合うように並んでいる。
全員が揃ったところでパリーは俺の目を真っ直ぐに見つめてから話し始めた。
俺は、改めて自己紹介をして、事件の捜査に協力していただき感謝している旨を伝えた。それから今回の捜査について簡単に説明する。まずは失踪者の友人関係から調査することを伝える。そして、家族からマーチムの情報をもらうこと、行方不明になったマーチム個人の情報を集めることを伝え、協力をお願いする。
一通りの説明を終えると、リリアナが発言し、それに対しての質疑をパリー隊長が行う。
まず失踪者が家族に何も言わずにどこかへ行ってしまうことはよくあることなので、家族から失踪者にたどり着く可能性は低いのではないか? ということ、失踪者が友人に行き先を教えていた可能性もあると考えていることなどを話した。
マーチムの捜索願いが出されたのは最近で、家族も心配して必死で探していることだろう。
今回の事件捜査とは直接関係するかどうかは別にしても、この件は憲兵隊だけではなく、俺たちも動くべきだろう。
俺がそう伝えると、パリーは納得して、捜査を継続していくこととなった。
翌日、俺とアベルは早速、モンテ便商会の従業員の聞き取り調査に向かった。
まずは、店長のオダリスさんに再度話を聞く。
オダリスさんの話では、マーチムは真面目で誠実な青年だったそうだ。
最近は夜になると外出するようになり、朝まで帰ってこないことが増えてきたらしい。失踪当日もいつもと変わらず、夕方に店は閉店し、客はいなかった。夜になり、いつものようにマーチムは店の裏口から出かけて行った。
それがマーチムの姿を見た最後だったと寂しそうにつぶやいた。
店の従業員たちも似たような話で、いつもと変わらない様子で過ごしていたと証言した。
これまでと変わったところはなかったか聞くと、ある従業員が、最近、マーチムの様子が変わってきたと話し出した。
父親の話では、マーチムには思い人がおり本人に伝える予定だと話していた。しかし、周りの人たちには最近その人とは恋仲ではなくなったと言い出していたのだと言う。理由を聞いても答えてくれず、あまりしつこく聞いたため怒らせてしまい、それ以降その話はしなくなったということだ。俺は、他の人たちにもこの話を聞きましたと伝え、何か知っていることはないかと尋ねる。
その従業員は心当たりがあるのか、苦い顔をしながらぽつぽつと話してくれた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます