第35話 コルダラ城塞都市 02
今回の任務はコルダラ城塞都市での調査任務だ。今回も派遣警察騎士団から俺、アベル、リリアナの3名で任務にあたる。他の騎士団からも城塞都市に出向いているが、基本3名での行動となる。そして今回は記憶をなくしてしまっているエレナ(王女)も従者として同行している。
「やっと着いたあああああ。とりあえず早く風呂に入りてえ」
アベルが騒いでいる。
「もう少し我慢して。着いたらすぐ宿に荷物を置いて捜査隊本部へ向かわないとだし」
俺がそう答えるとリリアナもさすがに疲れたのか一息入れているようだ。ふいにエレナが問いかけてくる。
「ねぇ、ノア? 本当に私がついてきてよかったのでしょうか?」
「はい、特に問題はありません。従者扱いなので本当に申し訳ないのですが…… 早く部屋に入ってひとまず休みましょう」
とすぐさまリリアナが言う。
「ありがとう。でも私は何のお役にも立てなくて……」
「エレナ、そんなことはないよ。前にも言ったけど、困ったときはお互い様。みんなで事件の解決と王城への帰還をはたそう」
俺はみんなに元気よくそう伝え宿に向かう。
コルダラ城塞都市で事件はまだ起こっていない。今回の捜査では聖王国との繋がりがあると思われる商人を探り当てることになっている。その為、商人が多く集まる場所を中心に調査を行う予定だ。本部に向かう前宿屋でそれとなく事件について聞いてみると、街では一連の事件は聖王国の仕業ではないかと噂になっているという。この噂に関しては調べてみる必要がありそうだ。
俺達は宿にチェックインするとすぐに捜査隊の本部へ向かう。本部は公爵家館の隣にある建物で、そこで情報交換を行いつつ今後の方針を決めていく。
特別捜査隊は、俺たち派遣警察騎士団3名、王国軍から3名、公爵領騎士団3名、公爵領憲兵隊から3名の12名が今回の主要メンバーとなる。
捜査自体は既に始まっており、いくつかの班に分かれて行動を開始しているらしい。現地の責任者である騎士パリーは俺たちが到着する前からすでに行動を起こしており、配下に俺たちとの情報交換を任せていた。どうやら歓迎されていないようだ。気に入らないのも仕方ないとは思うけど顔くらい見せてもいいだろうに。まあ王都からやってきたのがこんな若造たちだから本気か? って思うのも分からなくもないけど。
地元の騎士・憲兵たちとの事務的な打ち合わせを終え、捜査開始1日目、憲兵隊から行方不明者の情報があり城壁内の街へ調査に向かう。その人物は、この街で商売をしている商家の次男であるが、現在行方が分かっていないため、家族が心配しており、捜索願いが出ているのだという。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます