第24話 事件 エレナ 07
ボルソアの町に到着した特別部隊が目にしたのは元々町だったであろう建物群だった。住民の死体はすでに処理された後だが、処理を行うまでに数日かかったこともあり、すべてを回収することはできなかったそうだ。
そして、この町の住民だった親類縁者を探し回る近隣の村の者たちが見えるが住民に生存者はほとんどいなかった。唯一見つかったのは大量の血痕だけだった。
その状況を見た隊長は、直ちに調査を開始した。そして、すぐに報告しなければならない事態が発生していることを察した。
まずはこの惨状の原因についてだ。魔物は明らかにこれまでこの王国で確認されたものではない。それは、死体を調べた時に判明した。爪のようなもので一突きにされていたり、喉元を両側から挟み込むように食いちぎられている死体もあった。隊長クラスにしか知らされていないが、これはやはりあの蜘蛛の魔物の仕業のようだ。
数少ない生き残りである衰弱死した目撃者を聴取する中でやっとのことで聞き出せたのが、人が突然魔物に変わったことと騎士が1名その魔物にやられたであろうことだけだった。
となると考えられるのは、何らかの方法で人を魔物にする方法が存在し、その魔物が人々を襲ったということ。さらに、人を魔物に変え、それを解き放った奴が存在するということだが…
そんなことを考えながら部下たちと町中を回っていると、部下がある一軒家の前で立ち止まった。そこには剣を持った冒険者であろう若い男女の姿が見えた。
隊長は急いでその2人に近づき事情を聴いた。すると、この2人は町が魔物に襲われたとき王都から町に戻っている最中で、町から煙が立ち上っているのを発見し、急いで戻ったがすでに町は蹂躙されつくし、魔物は消えさった後だったらしい。救助活動中、まだ息のあった住民から様々な話を聞き取っていた。
「町が襲われる前にこの街に滞在していた騎士に話しかけられた人物がいました。」
「なんだと?」
「息を引き取った者が必死に伝えてくれました。確か、『黒いローブを』と言っておりました。」
「他には?」
「他には『見たこともない服』というようなことも言っていたと思います」
「情報感謝する! 今後も協力をお願いする。 後ほど詳しい話を再度聞かせてくれ」
そう言って、その男女を拠点テントに向かわせた。
この情報は速やかに国王陛下に知らせなければならない。私は急ぎ王宮に知らせを送り、詳しい情報から捜査を進めていくことを決めた。
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