第18話 事件 エレナ 06
ガストンさんだったはずの蜘蛛のような魔獣はものすごいスピードで襲い掛かってくる。
「うわああー!!」
私は逃げることしかできなかった…… この情報を何としても王都に届けなければ。周りの様子を見ると町はパニックに襲われ皆逃げ回っている。
この町は規模も小さくとてもこの魔物を相手にできる力をもつ兵士などいない。ここは自分が何とかするしかない。しかし、この情報を一刻も早く王都に伝えなければならない。
このままでは町が襲われ壊滅する。しかし情報を持ち帰らなければ…、そんなことを考えていると、先ほどまでとは比べ物にならないくらい速い速度で蜘蛛の魔物が突っ込んできた。
私は咄嵯に身をかわしたが、その衝撃によって壁に打ち付けられてしまった。刹那、蜘蛛の魔物の鋭い爪がジグワルドを襲う。
そして、そのまま壁にめり込むように倒れ込んでしまう。
身体中が痛くて動けない……
もうだめだ……
……死ぬ
情報を王都に つた れば……
町の住民が蜘蛛の化物に襲われていく様子が瞳に映り込む。涙を流しながら彼の意識は薄れていった。
その日、ボルソアの町は絶叫と混乱に包まれていた。突如現れた魔物に騎士が襲われ、町を破壊しながら住民に襲い掛かってきたのだ。
数日前からこの騎士が町に滞在していることは噂になっていた。目的はよくわからないが横暴なことをするわけでも町の住民に嫌がらせをするようなこともなかった。
その時間、現場近くを歩いていた住民は騎士が身なりの悪い男に話しかけ尋問をしているように感じていた。騎士が驚いたような声を上げたため振り返ると身なりの悪い男が急に苦しみはじめ何かを叫び始めた。そこから先はパニック状態だった。魔物が逃げ出した騎士を追いかけ攻撃を加え殺害し、そこから住民を虐殺していった。
町の住民が避難する中、一人の青年が逃げ遅れている女性を見つけた。女性は小さな女の子を抱え必死に逃げようとしていた。青年はその女性を助けようと走り出す。だが、そこに現れた魔物によって阻まれてしまう。青年は恐怖で動けずにいた。魔物の鋭い爪が迫りそのまま青年に振り下ろされる。女性と小さな女の子にも容赦なく鋭い爪が振り下ろされる。その光景に逃げるのも忘れ見入ってしまう。
目が……
魔物の目が……
私は……
次々と町の住民が殺されていく。
約900人の住民のうち生き残った住民はわずか数十名、その中でこの騎士と魔物になった男の目撃者は1名で魔物の特徴を聞くとパニックになり「ア アブ… ア……」と繰り返すだけで全く理解できなかった。そしてこの目撃者もパニックから精神状態を狂わせ衰弱死した。
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