第41話 お前はそういうのがお似合いだ
1時間30分後
「っ……っ!っ!」
行為が終わって10分ほどが過ぎたというのに、ベッドの上で不規則な呼吸をしながら、口を半開きにしている真凜の姿は実に色っぽい。
散らばった服と下着の数々といろんなモノ、汗まみれの体、赤いシミ、そして名状し難い匂い。
行為は言葉では言い表せないほど激しかった。最初は俺を煽ってきた真凜も、長年鍛えられた大人の俺のワザになすすべもなく、余裕を失い、完全に俺に飲み込まれてしまった。
正直、少女相手にひどいことをしたなとは思うが、俺は手を抜くことなどせず、行為に臨んだのだ。
別に彼女に対しては罪悪感はない。
俺は、彼女の要求を身体でねじ伏せた。
「……」
とっくに色褪せた彼女の瞳を見ると、達成感からなる快感が俺の身体を駆け巡った。
おそらくこの快感は、過去の俺と、転生前の近藤樹の記憶によってもたらされた面が大きいと思う。
葉山翔太という高校生男子。
デブだった俺に数えきれないほどひどいことをしてきたイジメの張本人であり、クラスのヒエラルキーの頂点に君臨している金髪野郎。
そいつの妹は、
今、俺に抱かれている。
「そろそろ、シャワー浴びないと……っ!」
「そうだな」
この家のシャワーを借りるのは2回目になるのだろうか。
一緒に入ろうと俺が誘ったが、真凜は怖気ついたような表情で頭を左右に振って、先に入った。
彼女がシャワーを終えると、入れ替わるように俺もいろんなものでベトベトになった身体を洗い流すべく浴室へ入った。
X X X
翔太side
家の近く
「クソクソクソ!あのアマ……お高く止まりやがって!ちっと胸がデカい分際で!やらせてくれると思ったのによ!」
息を荒げながら歩調を早める翔太。この様子からでもわかるように、他校の女子との合コンは大失敗に終わった。
コメカミには血管が浮き立っており、次の合コンをやるために忙しなく携帯をいじっていた。
X X X
樹side
葉山家
さっぱりしたところで再び制服に着替えた俺は風呂場を出てリビングにやってきた。そこには、真凜がソファーで横になったまま、熱い息を吐いている。
なので俺は笑顔で言った。
「シャワーありがとう」
「っ!」
「ん?」
お礼を言っても、身体を少し痙攣させて何も返して来ない真凜を見て、俺は小首を傾げた。すると、真凜が急に顔をふいっと逸らして、小さく言う。
「ちゃんと……気持ちよかったみたいね。やっぱり私だわ……」
本当、こいつは、懲りないやつだな。
俺はそっと腰をかがめて真凜の耳に向かって囁く。
「まだ俺、全然本気出せてないんだけどな」
「っ!!!!!!!」
真凜は再び全身を震わせ、頬を膨らせる。
「本当……樹っちは……」
唇を動かす真凜の表情は徐々に色気を帯び始める。
「いつか、私が……必ず……」
(玄関ドアが開く音)
「「っ!」」
真凜が何を言うのか気になり耳をそば立てていたが、力強く開け放たれる玄関ドアの音にびっくりしてしまった。
真凜も同じく驚いた様子だ。
だが、俺たちを驚愕させたのは、音ではなく、リビングにやってきた人の存在であった。
「な!近藤……」
「葉山……」
俺たちは互いを存在を認識した途端に目をカッと見開いて、戸惑った。だが、彼は当惑した様子を誤魔化すべく殊更に大声で訊ねてくる。
「なんで……なんでお前がここにいんだよ!」
彼に言われた俺は、気を落ち着かせて冷静な言い方で答えてやった。
「なんでって、服返しにきただけだよ」
「服?」
「ああ。真凜とこの前一緒に外で遊んだ時、雨降っちゃってね。びしょ濡れだったから近くにある真凜の家に行って服と傘、貸してもらったんだ。それだけ」
真面目な表情を葉山に向けると、彼はいつの間にやら立ち上がった真凜に視線を送ってきた。
「ほ、ほら!兄貴ってなかなか背伸びないから、昔買っておいたあの服貸しただけよ!いつもフリマアプリで処分しようかってずっと口癖のように言ったじゃん!」
「あ、ああ……あの服か」
「うん!ずっとほったらかしにされるよりかは誰の役に立った方がマシじゃん!」
「……」
色々熱心な妹の言葉を聞いて、顔を顰めて考える葉山。彼はやがて俺を睨んできた。
「おい近藤。お前、俺の妹と知り合いだったのか?」
「まあ、そうだな。昔からずっと通い詰めていた喫茶店で親切にしてもらったから。でも、お前の妹だということは俺も最近知った」
「メイド喫茶店……」
知ってたのかよ……
俺が苦笑いを浮かべると、葉山は急に眉間に皺を寄せ、怒りの込められた声で俺を問い詰めてきた。
「俺の妹に、変なことしてないんだよな?」
俺はほぼ無表情で返す。
「変なことって、どんなこと?」
「っ!二人きりだったろ!環奈の時みたいに調子こいて真凜にも不快な思いをさせなかったのか聞いてんだ!」
「ふん……俺って、あまりそんなこと詳しくないからな。何言ってるのかわかんないな」
と、俺がしれっと昔の近藤樹が浮かべそうな表情で返事すると、お尻に刺激が走った。
真凜がつねってきたのだ。
そんな妹の動作に気づくはずもない葉山は鼻で笑って言う。
「ふっ!お前はそんなやつだったよな!まあいい。お前はそういうのがお似合いなんだよ!」
「ん?本当、何言ってんの?」
「しらんでいい。お前が知ることじゃないんだよ。用が終わったならさっさと帰れ」
「まあ、そうだな。悪い。俺、帰るわ。じゃ、真凜、またな」
「う、うん!あとで連絡するから!」
と、手を振ってから、俺は歩き出した。
葉山を通り過ぎろうとした瞬間、俺の口角がひとりでに釣り上がったのは言うまでもない。
追記
次回も見てね!
もっと書きたかったけど、風邪ひいちゃって無理だった!
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