第20話 生意気な子
真凛の家
俺たちは制服がびしょ濡れになることなんぞ気にせずに全力で走って真凛の家に着いた。
ごく普通の一戸建てではあるが、彼女がここで住んでいることを考えると、なぜか特別感があるように思える。
「ちょっと玄関で待ってて」
鍵を開けた彼女は後ろを振り向くことをせず俺に言った。
真凜は素早く中に入って、バスタオル一枚を俺に渡してくれた。
「サンキュ」
「濡れた制服は全部ちょうだい。乾燥機にかけるから」
「わ、悪い」
「ううん。いいの」
「それより、真凜の方が心配だ。俺は男だからいいけど、真凜は……っ!」
俺と同様、真凜もまたびしょ濡れである。なので、白いシャツ越しに見える青色の下着がその凄まじい膨らみを俺に見せつけているのだ。照明はついていないが、暗がりの中でのこのビジュアルはむしろ男の本能をより掻き立てる。人気ないようだし、おそらく二人きりだろう。
めざとく小悪魔っぽい彼女はもちろん俺の反応を見逃すわけがなく、自分の胸と俺の顔を交互に見ては、ほくそ笑んだ。
「樹っち、えっち」
「す、すまん」
俺が目を逸らすと、真凜は勝ち誇ったような面持ちで言う。
「私、濡れたから、シャワー浴びないとね。樹っちも私が終わったら浴びなよ」
「え?いや……それは」
「その格好だと風引いちゃうじゃん?服は兄貴のものを貸してあげるから」
「い、いいのか?お兄さんのものを勝手に……」
「いいよ。身長180センチになれば着るつもりで買った服が結構あるから。でも、全然伸びないし、樹っちが着ても全然問題なし!」
「そういうことなら」
ちょっと真凛のお兄さんには申し訳ないが、お言葉に甘えることにしよう。
というわけで、真凜は早速風呂場に向かい、シャワーを始める。一つ気になるのは、去り際に真凜が俺を上から目線で見ていたところ。
俺はというと、リビングの床に座ったまま、真凜が身体を洗う音をリアルタイムで聴いてる。
「……」
しばし経つと、浴室から出てきた真凜が「どうぞ。濡れた制服は脱衣所に置いておいて」って言ってから2階に上がった。
なので、俺は「わかった」と返事をしてから、脱衣所に入って服を脱いだ。そしてシャワータイム。
ここでついさっき真凜が裸で身体を洗っていた。
排水溝あたりには彼女のものらしき長い髪のが数本見えていて、シャンプーとコンディショナーとボディーソープの混ざったなんとも言えない香りが俺の鼻をくすぐる。
「ったく……」
俺はそう口ずさみながら鏡に映っている形のいい筋肉がついている細マッチョの身体を丁寧に洗っていく。
幸いなことに早めに温かいシャワーを浴びたので風邪にひくことはなさそうだ。
シャワーが終わった俺は脱衣所に行くと、濡れた制服は見えず、タグも取ってない服が置かれていた。
上着とズボンはまだいいけど、下着はちゃんとお金を出さねば。
俺はシャワーが終われば、基本ズボンしか履かない癖がある。洗面台の鏡で俺の体の変化を観察するのが日課となっているためである。
なので、いつも通りにパンツとズボンだけ履いて、上着を手に脱衣所から出た。
すると、明るい表明に照らされた部屋着姿の真凜が立っている。短いパンツにシャツ。
彼女は最初こそ笑顔だったが、俺の上半身を見るや否や、急に口を半開きにし、目が少し揺れる。
そして
「すっごい身体……本当に樹っちは変わっちゃったね」
「……」
「ねえ、ちょっと触っていい?」
「……」
頬を紅潮させ、息を少し弾ませながら興味を示す真凜に俺は何も返せなかった。それを肯定と捉えたのか、真凜は俺に近づき、その健康美溢れる形のいい指で俺の体をなぞる。
俺の固いシックスパックをつついている真凜は
また小悪魔っぽく俺を挑発する目をしていた。
「どうしたの?樹っち」
「……」
俺は……
真っ当な人生を送ろうとした。
いい親といい友人に囲まれた幸せな生活。もう過去の俺とはおさらばと言わんばかりに振る舞ってきた。
だけど、昔のドス黒い本能を刺激する女が次から次へと登場した。
環奈のお母さんである環さん。
そして
目の前にいる女。
我慢の限界に達した俺は彼女を後ろから強く抱きしめた。そして俺の右手で彼女の豊満な胸を遠慮なく鷲掴みにし、片方の手で彼女のうなじを触り、耳打ちする。
「生意気な子だな」
「っ!!!!!!!!!!!!!」
俺の声を聞いた真凜は、急に身体を痙攣させ始める。
追記
どうなるんでしょうかw
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