14 人間としての

 伝統的に医療の情報化を推進してきたその病院は、出雲朝の国立病院となってからは、日本列島のみならずアジア全域から患者が訪れる、最先端の医療機関の一つとして知られるようになった。


「人間としてのしあわせを」


 大陸からも多くの患者を集める医療機関のポリシーは、伊勢朝〈優生工作者〉の在り方を人間では無いと暗に非難していると言われる。しかしながら、双方の最先端医療のポリシーの差異は、採用される編集技術のわずかな差異、認められる出生前エフェクト、或いはアフターエフェクトの誤差にすぎないとの指摘もある。

 決めるのは医療機関では無い。まして国家のイデオロギーでもない。患者のニーズだ。分裂王朝のイデオロギー争いは、すでに茶番だ。

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