13 文明発展図

図:https://19084.mitemin.net/i679699/


『文明の星』理論の中心となる、

文明発展の循環サイクルをまとめた詳細図です。



(1)文明の循環サイクル


人類は文明によって、繁栄を得ました。

文明活動の本体は、

全ての人々が営む経済・社会活動ですが、

それを支える二本柱が、技術と政策です。


技術は〝自然〟に働きかけて、

富を生み出し、社会活動を豊かにします。

政策は〝人々〟の利害を調整して、

富を分け合い、社会活動を健全に保ちます。


技術が進むと、経済・社会活動が拡大し、

省力・複雑・加速化するので、

それに応じて政策も高度化し、

巨大化と分権化が同時進行します。


そうした政策の企画や実施を助ける

社会工学的技術もある一方、

政策は在来技術の限界を克服すべく、

新たな技術の開発・普及も促します。



(2)文明の潮流トレンド


注目すべきは、こうした文明発展の

循環サイクルを繰り返すうち、

中心となる画期技術の種類が増え、

重要な政策分野も増えていくことです。


文明の発展段階を分ける画期技術には、

新しいものが加わってきました。


まず農業技術は

体外物質の利用によって、

食料の安定供給を可能とし、

文明を生み出しました。

 

次に工業技術は、

体外動力エネルギーの利用によって、

文明活動の規模と速度を増幅し、

文明を世界に拡大しました。


そして情報技術は、体外情報の利用

(演算・記録・通信)によって、

文明活動を効率化し、地球という

環境的限界への到達の衝撃を緩和しました。


さらに人工知能(AI)は体外知性の

利用により、人間自身を含む自然物と

機械など人工物の親和性を高め、

文明の持続可能性を実現しつつあります。


これに成功すれば、

次はさらなる新技術の開発により、

本格的な宇宙開発技術の時代に

進むことができると思います。


重要な政策の分野もまた、

増加してきました。


まず農業~工業時代には、

灌漑事業や国防など、

富の(確保も含めた)生産のための、

技術的政策が中心でした。


次に工業~情報時代には、

産業立国や福祉国家というように、

富の(再投資も含めた)再分配のための、

経済・社会政策も重要になりました。


そして情報~AI時代には、

地球規模の自然的限界や世界の一体化、

人々の生活向上や少子高齢化を背景に、

富を作って分ける人々自身の健康や教育を、

人道的かつ公正に向上させるための、

人的資源政策が重要になると思います。


それができればAI~宇宙時代には、

そこにいる全ての人が最大限に、

適材適所で協力・参画し、

多様な政策を最適な形で行うための、

行政管理政策が重要になるでしょう。


以上の変化については、

他の技術や政策が重要性を失うのではなく、

重要な技術や政策が積み重なるという意味で、

技術・政策の〝重心移動〟と表現できます。



(3)潮流トレンドの原因


では、このような発展に伴う変化は、

何によって起きるのでしょうか?


簡単に言えば『できることが増えると、

考えるべきことも増える』となりますが、

詳しく見るとそこにはやはり、

技術の難易度や性質、

自然・社会環境の変化といった、

人間と環境の相互作用があると思います。


例えば、社会がまだ貧しく、

自然に開発の余裕が多い時代には、

まず生産が最優先となりましょう。


しかし社会が豊かになってくると、

それを上手に配分しないと内乱が起きたり、

他国との産業競争に負けたりしてしまう。


社会が十分豊かになる反面、

自然開発や領土拡大に限界が見えてくると、

利便性や効率性の向上を巡る競争が始まる。


いよいよ地球環境は限界、社会の複雑化や

高齢化など人間自身の限界も見える一方、

世界の統合や生活の向上、核兵器の出現で、

戦争や災害による淘汰も許されなくなると、

我々自身の向上や協力も含めた、

惑星文明の持続的発展が課題になる。


それができたら、

次はさらなる新天地フロンティアを求め、

本格的宇宙開発のための新技術や、

さらに少ない人間の活用を含む政策が

求められるようになる……。


そのような、社会的必要性(需要)と

技術的可能性(難易度)の変化が、

技術や政策における文明の潮流トレンド

形作っているように思われます。


技術においても、政策においても、

①富の生産(確保も含む)

② 富の分配(再投資も含む)

③人の向上(健康・教育)

④ 人の活用(参画・協働)の順で、

それを可能にする技術が主役を担い、

それを推進する政策が重要になります。


経済・社会活動が拡大・省力化する中で、

より多くの人々がより広く、

科学・技術や制度・政策も含め、

総合的に考えられるようになれば、

必ずや、さらなる文明の繁栄に

役立つのではないかと思います。


人類文明がこれからも永続的に、

発展し続けられるよう期待したいです。


以上の図で描いたのは、SF小説

「Lucifer(ルシファー)」シリーズを

書きながら考えた文明論です。

この作品では、星間文明も惑星文明と

同様の発展過程を辿たどると想定し、

銀河的国家の盛衰と発展を描きました。


そんな小説から文明論まで考えられる、

創作上の刺激を与えてくれたのは、

アイドルマスターや後にはバンドリ、

ラブライブのインターネット動画でした。


漫画「デビルマン」や「アーシアン」、

「アスタロト」シリーズ、

SF「幼年期の終わり」や「レンズマン」、

アニメなら「銀英伝」のシリーズ、

映画「ドグマ」や「ナインスゲート」、

音楽なら聖飢魔Ⅱやレインボウの楽曲、

TV番組では「古代の宇宙人」シリーズ、

フィギュア「デモンズ・クロニクル」など、

他の様々な作品からも影響を受けています。


ここでは挙げきれませんが、

全ての作品に感謝します。

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文明の星(二訂版) 平 一 @tairahajime

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