第10話

高校での洗面所の使用も、ボクの場合は、女子のほうでやって良い、っていうように、まわりのみんなのほうから、そう了解してくれていたから、自分も自然と、そういうふうに行動出来て、それはとても良かった。


高2になっても、香絵ちゃんと同じクラスになれたから、教室でもいつも香絵ちゃんにくっついてる。お昼のお弁当の時間も、香絵ちゃんのところに行って、いっしょに食べている。

体育の着替えも、いつも香絵ちゃんのところに行って、香絵ちゃんといっしょにやっている。香絵ちゃんといっしょに体育の授業に行って、終わったら、また香絵ちゃんといっしょに着替えて、次の授業に香絵ちゃんといっしょに向かってる。

放課後は美術室に行って、ボクはまた香絵ちゃんの肖像画の製作にとりかかっている。ボクの絵のいちばんのモチーフは香絵ちゃんだ。香絵ちゃんこそ、ボクのヴィーナス。ヴィーナス誕生。2人の好きな、カバネルさんやブーグローさんの描いた「ヴィーナス誕生」の絵の中のヴィーナス。それこそ、まさに香絵ちゃんそのものなのだ。

家では、香絵ちゃんのえっちな姿を想像して、香絵ちゃんのえっちな姿を何枚も何枚も描いてるけど、美術部では、カバネルさんやブーグローさんの描いた「ヴィーナス誕生」のヴィーナスのような香絵ちゃんの姿をぜひ描いてみたいものだなあって、いつも思っている。

家では高校の宿題とかをやってても、ついつい香絵ちゃんのえっちな姿を描きたくなってきて、えっちな香絵ちゃん専用ノートに、香絵ちゃんのえっちな姿や、香絵ちゃんとボクとで、えっちなことをしてるところを絵に描いている。

ただ不思議なことに、そういう絵をいつも見守ってくれてる存在が部屋にいることを毎日、感じながら生活しているようになっている。

毎晩、寝てると、部屋に存在してる霊が、ボクの描いた絵をパラパラとめくって見てくれているのだ。

ボクの家の周辺には、古墳群もあって、歴史的にも奥深い場所なので、色んな時代の色んな霊も存在してて、おかしくない土地柄だから、そういう、ボクの部屋で、ボクの描いた絵を見てくれてる霊がいたとしても、ああ、そうなんやなあって思える場所ではある。

なんとなく、雰囲気で、絵の好きな霊なのかなあって思える。美術好きな芸術家のようなお方の霊なのかなあって思える。

あと、これも雰囲気で、そう感じるんだけど、なんとなく、女流芸術家のような気してる。女流っぽい感覚を感じてしまうのだ。女流のようなオーラを。オーラ的に、女流芸術家なのではって思えるような。


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