パーティー全滅その後

@karakuri-koron

ウィル

辺り一面血だらけだ、なんの魔物かも体のどの部位なのかも分からない肉片がそこら中に散らばっている、あれからどのくらいたった?何分だ?何時間だ?それとも何日も経過したのか?もう、分からない、何も、もうどうでもいい、パーティーが、全滅した。














俺を除いて……














「おーい!ウィル!クエスト見つかったぞ!」

そう言いながら嬉しそうに駆け寄るアルト

「やっとか?どんな内容だよ」

俺は呆れながら大喜びしているアルトを見る。まぁ仕方ないだろう、なにせ最近は魔物が活発化していて上位の魔物が多く、俺らBランク以下の奴らはまともに依頼が無かったらな

「ククルの森にオークが出たらしいからそれの討伐だよ!オークなら前にも討伐したことあるし丁度良いだろ!」

「オークか、確かに丁度良いな」

と言うのも冒険者にはそいつらの実力を示すランクがあり、また魔物にも強さを示すランクがある。ちなみにオークはCランク、まぁ魔物の場合のCランクはCランクの冒険者3人以上なんだけどな、うちのパーティーはBランク5人だし戦力的には余裕だな。

「だろ!さっそく行こうぜ!」

「まぁ待てよ、まだ他の奴らも来てないし何より準備終わってないだろ?行くなら準備して明日からな」

俺はアルトをそう言って窘め泊まっている宿屋へと向かった














~宿屋~

「あっ、ウィルさん、アルトさんおかえりなさい何か依頼はありましたか?」

「あぁ!ただいまアリス!オークの討伐依頼があったよ!」

「ただいまアリス、あったよ」

今俺たちに依頼の有無を聞いてきたのはアリス、パーティーメンバーの1人だ

「あら?帰って来てたのね、おかえりなさい」

「おう、帰ったか」

今喋ったのはお淑やかなのはフィオナで厳ついのはグレンだ。どちらもパーティーメンバーである。

「それにしてもようやくね」

「そうだな、まぁ最近は魔物が活発化してるから仕方ない」

愚痴を言うのも仕方ないだろう、なにせ2週間振りの依頼なのだから

「にしてもオークか、ちと弱くねぇか?ハイオークならまだ分かるが」

と疑問を言ったのはグレンである

「まぁそれは同感だな。この今の状況でオークは少しおかしい、もしかしたらハイオークかも知れないから準備は入念にして慎重に行った方がいいかもな」

俺は言いながら考える、そう、弱いのだ。さっきも言った通り今は魔物が活発化している、果たしてオークなんて魔物が今この状況で姿を現すかと言われると疑問が残る。だから見間違いでハイオークでした、なんて可能性がかなりあるわけだ。まぁ仮にハイオークが出たとしても俺達が慎重に戦えば勝てない相手ではないため大丈夫ではあるが

「でも大丈夫でしょ?僕達なら勝てるじゃん」

アルトも同じ事を同じ事を考えたようで依頼はどの道受けるようだ

「確かに、それに私達が受けなければ被害を受ける人達がいるかもしれませんし」

とアリスは被害を受ける人達がの事を心配し了承

「そうね、暫く依頼を受けていなかったし出来そうならいいんじゃないかしら?」

と久しぶりの依頼に断る気は無かったようでフィオナも賛成

「だな、俺もやれるならそれで構わねぇよ」

とこちらも久しぶりに戦えるとばかりに断る気はないグレン

「俺もみんながやりたいならそれでいいよ、それにそろそろお金もやばいしな」

と俺もパーティーの資金やみんなの事も考え賛成と

「よし!それじゃあ今日は各々準備して明日の朝出発しよう」





















~朝~

「よし!みんな準備できてるね!」

「あぁ、それじゃ行くか」

「ククルの森ってここからどれくらいかかったかしら?」

「ざっと2時間ってところじゃねぇか?」

「そうですね、2時間くらいです」

「休憩するからもう少し掛かると思うぞ?」

なんて雑談をしながら俺達は森へと向う。そこに何が待ち受けているのか、自分達がどうなるのかなんて知らずに……








~ククルの森~

「やけに静かね」

「だね、何時もならカナミラなんかが鳴いてると思うけど、まぁ魔物が活発化してるからじゃない?」

アルトはフィオナの疑問になんてことは無いかのように返す、確かにそうだが

「それにしてもなんか、不気味という、なんとも言えない感じがあるな」

「気のせいじゃない?最近は魔物が活発化してるとか色々あるし、それで変に緊張してるんでしょ?」

確かに、そう言われればそうなのだが、何だか違う気がする、そんな風には考えては見るが結局何かある訳でもなく俺達は森へと入った。





俺達が森へ入って少し探索するとハイオークらしき足跡が見つかった

「チッ、やっぱりハイオークだったか。おいアルトどうする?」

「昨日話した通り慎重に行こう、団体行動を崩さずなるべく気配を出さないで」

「そうね」

「そうですね」

と皆がこれからどうするのかについて話しているうちに俺は足跡を詳しく調べる。

「この足跡割と最近に出来たやつだな、近くにいるかもしれない」

「どれくらい前か分かる?ウィル」

「1時間くらい前だと思う」

そう言いながら俺は足跡から目を離し周りを見た、瞬間そいつと目が合った、いやそいつだけじゃない気付けば俺達は周りをオークとハイオークの群れに囲まれていた

「ッ!みんな!囲まれてる!」

俺は急いで声を上げた

「なッ!」

「いつの間に!」

「おいまじかよ!」

「最悪ね」

俺の注意を聞いて驚くが腐っても冒険者である、瞬時にみんな意識を切り替える。

「みんな!一旦引くよ!一点突破するんだ!僕とウィルで道を開く!グレンはアリスとフィオナを守って!アリスは支援魔法と回復の用意!フィオナはファイアボールを撃って牽制!」

アルトが一瞬にして作戦を組み立てみんなに知らせる

「「「了解!(おう!)」」」

そして各々言われた通りに動き出す、まず俺とアルトが先陣を切って包囲網に穴を開けようとするが

「こいつら硬いッ!」

アルトが苦渋に満ちた顔で叫ぶ

「私のファイアボールも効いてないわ!こいつら通常の個体よりも硬いわね、まさか!」


ここで1つ魔物に関する知識を教えようオークと言う魔物は基本2体から6体くらいの群れを作る、逆に言えばそれ以上の群れは作らない。何故かって?統率出来ないからだ、群れというのはリーダーが必ず存在する、そしてオークのリーダーは多くても6体程しかまとめきれないのである、それ以上になると管理しきれず食料が足りなくなったりなどしてオーク同士で争い出す、そのため6体以上の群れとなる場合は通常の個体のオークがリーダーでは無くハイオークやオークキングなどの上位種がリーダーとなる。そして今この状況オークとハイオークが群れをなしている、それも何十体単位で、である。このことからまずハイオークがリーダーと言う可能性が消える。そしてもう一度言おう、今は魔物が活発化している、その分強力な魔物が湧く。つまりこの群れを纏めているのはオークキングという事になる。まずキングと言う個体は特異個体でありそれまでのオークとは隔絶した強さを誇り尚且つ自分の仲間に対してバフを付けることが出来る。その結果今相対しているオークがバフを得て硬くなっているのだ。


ここに来て自分達が今どのような状況に置かれているのか理解したフィオナが声を上げ、みんなに知らせる

「アルト!こいつらを指揮しているのはオークキングよ!」

「何だって!くっ」

何とかして活路を見出そうとしているこの状況での最悪の可能性が見え死を実感する、そんな中

「ごちゃごちゃ喋ってる暇があるなら道を開きやがれ!アルト!」

声を張り上げグレンが叫ぶ

「生きて帰るぞ!こんな所で死んでたまるか!」

グレンがオーク、ハイオークの攻撃をしのぎながら言う

「ッ!、あ、あぁ!帰るんだ!」

死という絶望に支配されかけていた皆の思考が回り始める

「アルト!フィオナにフレイムスピアを撃たせろ!そこを叩くぞ!」

俺はこの状況を打開する方法を考え、叫ぶそれを聞いたフィオナはすぐさまフレイムスピアを放つ、そこに俺とアルトが突っ込み

「開けた!抜けるぞ!」

アルトがそう叫んだ瞬間


グルォォォォォォォォオッ!


とてつもない叫び声が響く、木々は揺れ、地面は震える。そう来たのだ、オークキングが


影が差す、俺達が開いた道は、そいつに塞がれ……

圧倒的威圧感、それに飲まれ誰も動けないそして、



一番最初に死んだのはグレンだった、魔法をずっと撃ち続け最後には中級魔法を放って魔力切れを起こして居たフィオナを庇ったのだ。そして次にフィオナが死んだ、魔力切れで動けずグレンが庇いきれなかった斬撃によって。そこでアルトが動いた、叫びながらオークキングへと突き進んでいくが、次の瞬間アルトの上半身が消えていた。消し飛ばされたと気づいたのは何か、生々しい物がぶつかった音がしてそこを見てからだ、そこにら潰れたアルトの上半身であっただろうものがあった。そこで俺は気づいた、自分が如何に無力で弱いのかを、俺達は慢心していた。パーティーを組んですぐDランクへと上がり、半年もしないうちにCランクへと上がり、1年半という速さでBランクへと到達したから。俺達ならどこまでも行けると、そう思っていた、だが現実は違った、いとも簡単にそんな幻想は壊された。オークキングが俺を見る、右腕に持っている鉈が振り上げられる、死んだ、そう思った。抵抗する気も起きなかった、足掻こうとすら思わなかった。だってそうだろ?目の前で仲間が無惨に殺されて、圧倒的な実力差を判らされて、今更どうこうしようなんて気力はわかなかった。オークキングが鉈を振り下ろす、その瞬間……

俺は突き飛ばされていた、そして目の前でアリスが斬られた、俺は何が起きたのか分からなかった、何故?そんな事しか出てこないそんな俺に

「に、げて……ウィルさんだけ、でも、生きて…」

その言葉を残してアリスも死んだ、。その事を理解した瞬間目の前が真っ白になった、なんで?そう思った次の瞬間にはそんなことは忘れていた、そしてアリスが言ったことを思い出す、俺だけでも逃げろと生きろと。何かが、大事な何がが切れたような音がした、俺は武器を持つ勝てない?絶対に負ける?そんなことは知らない、どうでもいい、そんなこと、考える事すら今の俺には出来なかった、俺は






























気づいたら辺り一面血だらけだった、周りには血肉が散乱している。俺は、今まで何をしていた?なんでこんなことになっている?仲間は?みんなは?どうなった?生きているのか?もう、分からない、分かりたくもない、知りたくもない。そんな風に考えながら俺は周りを見渡す、血肉が散乱しすぎてどれが仲間のものか何て分からない、それでも俺は、知りたくなくても、分かりたくなくても仲間を、みんなを連れて帰らないといけないからら、こんな場所においては行けないから、探す。どれくらい時間が経ったか、俺はみんなの遺体を見つけた、かなり乱戦をしていたらしく遺体や私物はグチャグチャになっている、そんな中俺はまだ形を保っている物を探した。全員分集め終わる頃にはもう真っ暗になっていた、体が冷える、指先なんてもう感覚がない、疲れすぎてふらつく、このままなら死ぬだろうな、死ねないな、生きてと言われたから、そんなことを思いながら

「帰らないと」

俺は街へ歩いた

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