第6話 帰ってきたあの男
ーーコンコン。
いつもとは違う静かなノック音が帝王の自室に響いた。
「誰じゃ?」
「私で御座います。 ただいまお時間よろしいでしょうか?」
ノックをしたのはメイド長だった。その声は少し甲高い。
「メイド長が直々にとは珍しいのぅ。 何かあったのかのぅ? 入って良いぞ」
帝王の許しを得て、メイド長は帝王の自室に入る。
「失礼いたします。 先ほど、脱走していた召喚者を捕獲しましたのでそのご連絡に参りました」
メイド長が口角を少し上げて伝えてきた。
「あの男か……それでどこにいたのじゃ?」
帝王は庭を駆け回っていたあの男の姿を思い浮かべた。たくさんのメイドたちが武器を掲げ、追われている異世界の男の姿。
「今朝方、庭の手入れに出ていたメイドが倒れている男を発見し、捕獲いたしました。 何故か外傷がありましたのでただいま執事のケナスチャンが治療を施しています」
「うむ、報告ご苦労であった。 下がって良いぞ」
「失礼いたします」
メイド長が一礼し部屋から出る。帝王はベット横にある椅子へと座った。
「あの男は確か……生真面目で城に長年尽くした者だったんじゃな。 長年尽くしてきたことを召喚によってわしが奪ってしまったのかもしれんのぅ」
帝王は男にしてしまったことを反省していた。
「今宵はそんな男を労うためにご馳走でも食わせてやろうかのぅ!」
男に対し敬意を見せようと思い、帝王は部下らに準備を促すのであった。
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