第4話 さみしさを紛らわせるため風俗入店
私は早川さんという女性を知っていました。清川さんが連れてきて、何回か一緒に食事したことがあるのです。年は20代後半で子供はいないそうです。口数は少なくて細身で華奢な子で、顔立ちはとても整っているんだけど、表情が乏しくて、影が薄い存在でした。だけどその反面、芯が強い、ある意味、頑固っぽそうな印象も受けていました。
清川さんは続けます。
「早川さんって、ちょっととっつきにくい感じがするんですけど、それはあの子、人見知りする癖があって、なかなか他人に打ち解けられないからなんです。でも本当はとっても寂しがり屋で、だから親しくなるととても、なんていうのかな、デレデレしてくるっていうか、甘えん坊になるというか、そういうところがある子なんです。それで早川さんの旦那さんは、大手の電機メーカーに勤めているんですけど、今、社運を掛けて新型の半導体の開発に力を入れていて、旦那差さんがその中核部署の主任に抜擢されて、仕事に夢中になっちゃってて、早川さんひとりぼっちなんです」
まぁ、よくある話ではあるんです。30歳前後の男性って会社に期待されて、大きな仕事を任されて、なかなか家庭をかえりみることができなくなる、ってことが。男性にしてみれば、仕事で期待されるってことは嬉しいことでしょうし、やりがいを感じるのは当然だと思います。でも、その反面、家庭を守らなければならない女性は、ほったらかしにされて、寂しい思いをしてしまう。夫が輝く分、妻は自分がみじめに見える瞬間。私も似たよなことを味わったことがありました。
「それで早川さん、寂しさをまぎらすために、マッチングアプリにハマるようになっちゃって、いろんな男の人と出会うようになったんです。早川さん人見知りするタイプなんですげど、マッチングアプリで出会う男の人は、エッチするのが目的で分かりやすいから、初対面でもあんまり緊張しなくて済むから、気楽だって言ってました。それで最初は相手が気に入ればエッチするし、嫌な感じだったら会っただけで終わらせるし、ってしてたんですけど、そのうち、なんかタダで性処理の相手するのがバカらしくなったみたいなんです。結局、男の人って”独りよがり”なエッチしかしてこないでしょ。だから。
でも、なかなか相手に『お金ちょうだい』っても言えなくて。それなら”お店”に勤めちゃうのはどうだろうって思うようになったんですって。前からちょっと、そういう世界に興味があったし、『私ならいったいどれくらい稼げるのか』ってまぁ、ゲーム感覚的な感じだったんだそうです」
まぁ、実際、早川さんは奇麗な顔立ちをしているのは確かですし、スタイルまではよく分からないけど、一見控えめそうな印象があるから、気にいる男性は少なくないかも。私はそう思いました。そして彼女はいくら稼いだのだろうと思いました。
清川さんは、周囲が完全にこの話題に喰いついているのが満足そうでした。楽しそうに話を続けます。
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