VSゴブリンの群れ
街を出てから数時間後、俺たちは目的地である森に到着した。
森の中に入るとすぐに大量のゴブリン達が姿を現す。
「それじゃあ行こうか」
リリアがそう言って彼女の能力【武器化】を発動する。
リリアの身体が黄色い光に包まれると同時に鏡が出現し、彼女を映す。
そんな彼女に合わせて俺も自身の能力である【シンクロ】を発動させる。
目の前に居る大量のゴブリンを倒すにはどんな武器がピッタリか、それをイメージし【シンクロ】の力で一瞬にしてリリアに伝える。
俺がイメージしたのは槍を振り回しながら戦う姿だ。
「戦術斬撃!」
鏡に映ったリリアの姿が俺のイメージした槍に変わると、リリアはその鏡を思い切り蹴り飛ばして槍の姿に変身する。
それと同時に、隠れてこちらの様子をうかがっていたであろうゴブリン達が四方八方から襲い掛かってくる。
俺は槍に変身したリリアを手に取り、襲い掛かってきたゴブリン達を一斉に薙ぎ払う。
その一撃で十匹以上のゴブリン達は吹き飛び、木に叩きつけられて絶命する。
「相変わらず凄いなリリアは……戦闘がど素人の俺がイメージ道理に戦えてるんだもんな」
「前にも言ったでしょ、君の描いたイメージを再現するように僕がサポートするって」
次々と襲ってくるゴブリン達の攻撃を
「現状、僕とケイが抱えている弱点はケイの体力面だけだからね、 こうして僕の力を使えば問題なく戦えるよ」
「いやぁ……体力面に関しては本当に申し訳ない」
「そんな顔しないで、これからいっぱい戦って体力を付けよう」
俺の言葉を聞いたリリアは優しい声色で答えてくれる。
「でも……君がそんなに申し訳なく思ってるなら一つだけ僕の要望を叶えてくれないかな?」
「要望?まぁ俺に出来ることならなんでも」
「この異世界の世界観をぶっ壊すような武器に変身させてほしいんだ」
「世界観をぶち壊す武器!?」
「そのまんまの意味だよ、この世界で誰も使わない様な武器。異世界人である君だからこそ思い浮かぶような武器に変身させてくれないかな」
えーっとつまり……中世ヨーロッパ風のファンタジー世界にはない武器で戦う姿をイメージすればいいんだよな。
この異世界に来てから俺はリリアにたくさん助けられてきたし、俺も何かお礼がしたい。
よし!ここは思い切ってリリアのイメージ通りの武器をイメージしてみるか!!
「それなら、こいつを試してみるか」
そして俺が思い浮べたのはヌンチャクだ。
2本の同じ長さの棒を鎖で連結した武器で、鎖につながれた短い棒を高速で振り回すことにより驚異的な攻撃力を誇る。
「いいね、いいね、こういう武器を待ってたんだ」
リリアは楽しそうにそう言うと、槍になっていた全身を黄色く光らせて能力を発動させる。
「戦術打撃!」
ヌンチャクに姿を変えたリリアを手に取り、俺はゴブリンに向かって走り出す。
「それじゃあ、どんどん行こうか」
リリアのその声と共に俺は手を動かしてヌンチャクを振り回し、すれ違った大量のゴブリン達の頭部に叩き込んでいった。
「すげぇな……さっきの一瞬で何体倒した?」
「ざっと50体ぐらいかな、ケイの身体の方は大丈夫?」
「ちょっと疲れてるけどまだまだ大丈夫」
俺がそう口にすると同時に、3体の大柄なゴブリンがこちらに迫り、一斉に棍棒を振り下げて攻撃する。
俺は焦らずに、この状況を打破する武器をイメージする。
攻防一体の動きが出来る武器……そうだ!
「リリアこいつで頼む!」
そう言った俺はさっき考えたイメージを【シンクロ】の能力でリリアと共有する。
リリアはすぐさま形状変化を行う……棒をT字型に組んだ2つ1組の武器であるトンファーに。
「うおおおおお!!」
気合の声を上げながら俺は両手に持つ2つのトンファーで攻撃を防御しながら反撃していく。
「凄いよケイ……君と一緒に居れば僕はこの世界で一番強い武器になれる、クソおやじが作った武器なんて霞んで見えちゃうぐらいに!!」
リリアは珍しく声を荒げながら嬉しそうな声色でそう叫んだ。
リリアの親父さんが作った武器の事とか全然分からんが……単純に彼女の口から凄いと褒められたことがちょっとだけ嬉しかったりする。
彼女の叫び声に驚いたのか、勝機がないと悟ったのか、気づけば残り数体となっていたゴブリン達は撤退を始める。
だが、それを逃がすつもりはない。
俺がぱっとイメージしたのはブーメランに変形したリリアを投げて、逃げているゴブリンを一気に
「戦術
俺のイメージを【シンクロ】の力で受け取ったリリアは少し大きなブーメランに姿を変える。
「こいつで終わりだ」
二人で声をそろえて叫び、渾身の力で攻撃する。
ブーメランになったリリアは俺のイメージした通りにゴブリンを殲滅した。
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