そんなに僕の顔が可愛かった?
目が覚めるとそこは見知らぬ部屋だった。
「あれ……」
辺りを見渡すと、ベッドの横には心配そうな顔をしているリリアがいた。
「ケイ!!良かった目を覚ましてくれて」
「お、おい落ち着け。俺は何ともないから、急な運動だったもんでちょっと疲れただけさ」
俺の肩を強く掴んで取り乱しているリリアを落ち着かせるために、俺はそう言ってゆっくりと体を起こす。
そんな俺の姿を見て安心したのか、リリアはすぐに元の調子に戻って俺の肩を掴んでいた手をゆっくりと放した。
「あぁ……ごめん、僕としたことがちょっと取り乱したみたいだ」
「いや、いいよ。それよりもここはどこなんだ?」
「ここは僕の自宅、君が寝ちゃった所の近くにあるんだ」
「ここまで運んでくれたのか、悪いな迷惑かけちまって」
「気にしないで。僕たちはもう互いを助け合う仲間なんだからさ」
リリアはそう言いながら俺との契約の証である赤い五芒星のマークをひらひらと見せる。
長い髪を垂らしながらこちらを見つめる彼女の顔を見て少しだけドキッとする。
そんな感情が顔に出ていたのか、彼女はニヤリと笑って俺をからかう。
「そんなに僕の顔が可愛かった?」
「へぇっ?!」
「あー照れてる」
「て、照れてねーよ!!」
慌てて否定するも、リリアは楽しげに笑っているだけだった。
「そんな調子でドキマギしてたら心臓がもたないよ、なんたってこれから……」
「これから?」
リリアはそこまで言うと急に後ろを向き、言いよどむように口を閉じた。
不思議に思い問いかけるも、すぐにいつものような笑顔に戻る。
「うーんやっぱりいいや、そんな事よりお腹すいてー」
リリアがそう言って話題を変えようとしたその瞬間、部屋の扉が大きな音を立てて開く。
そこには背中にコウモリのような羽を生やしメイド服に身を包んだ一人の女性だった。
「あぁぁーもうじれったいですね!!!いつまで余裕そうな雰囲気まとってるんですか!お嬢様はさっさと『君のことが好きだから僕と同棲してほしい』ってケイ様に言っ……てあれ?」
なんで扉が開いてるんだとでも言いそうな声を上げるその女性と俺の目があう。
しばらく呆然としていた俺の意識を取り戻したのは……
「うわぁぁ!!」
さっきまでのリリアからは考えられないぐらい恥ずかしそうに顔を真っ赤にしながらメイドの女性に詰め寄るリリアの声だった。
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