第12話  つながり解雇?

最悪だ。

マッシュがミカンに例のDM、裏垢をバラした。


マッシュ、所詮やつはオタク四天王最弱←

女オタクにつながりを我慢できる器ではなかった。


土曜、ライブ後の飲み会。

マッシュが実はワズカの裏垢と繋がってるんだよ

ここだけの秘密とミカンにイキったのだ。


そしてミカンが秒でそれを晒した。


おいおいマッシュよ

ミカンが、わースゴイ。

マッシュさん尊敬します。

付き合ってくださいとでも言うと思ったのか?


ミカンは今や私批判の急先鋒。

やれ裏切られた。

やれ担当おりる、金返せだ。

被害者ムーブが始まっていた。

マッシュから教わったアカウントにミカンからのDMもガンガン来ていた。


きっかけ、つながりの証拠であるマッシュからのDMはツイッターに晒され、私共々プチ炎上中だ。



そうチェキ残数が見えるようになった初期、実験用の裏垢だ。

ヤツへのメッセージは、

『なにか現場で困ったことあったら、ここに報告してください』の一回のみ。

私はログインすら殆どしないで、放置していた。

でもそれからマッシュの独り言が延々とDMされていたのだ。



ワズカなヒト(私推しのファンの呼称)の誰かが呟く。

『マッシュって前に、オタク同士で物販中ケンカになったのに、出禁ならなかった奴だろう、やっぱりそういうことだったか』


ハイ、ダウト。大間違い。

マッシュは勝手に絡んでいって、ふっ飛ばされただけ。

あのトラブルにそもそも無関係な存在。


でもその時の独り言DMでは、それらしい文字が躍る。


『今日はワズカを護れたよね』

→しゃしゃりでて飛ばされただけ。


『あの2人は出禁になったけど、自分は出禁なってない。

これはワズカが運営に抗議してくれたからだよね、ありがとう。』

→1ミリも擁護してない。


呼び捨てもウザい。

今となってはすぐ切りたい。

その鬱陶しい髪もろともすぐ切りたい。

坊主にして謝罪させたい。


その気がないのでマッシュとオフで会ったり、付き合ったりしてる訳ではない。

そういった男関係での不祥事ではない。

潔白なのが不幸中の幸いといったところだ。

でも裏垢アカウントを知っていて私がコメントを送ったのは事実。


これを繋がりと言われても反論の余地はない。

ぱたをはじめとする

ワズカなヒトたちにも瞬く間に情報が拡散された。


普段のライブ告知ツイートも

是非この速さで拡散して欲しい。

そんな皮肉を言えたらいいのに。

言いたいことも言えないこんな世の中じゃ。



日曜のライブは体調不良として、ライブは当日急遽の体調不良でお休み。

私は運営に呼び出されていた。

クビを覚悟していたが、私の物販売上が大きい事と実際に密会していないことが考慮され、厳重注意という執行猶予、実質無罪が言い渡された。


やはり売上、売上が全てを解決する。


マッシュの出禁は速攻で決まった。これは僥倖。

ほぼノーダメージで事が進む。

ミカンはエアリプだけでなく、オープンなリプでも私を口撃しているが、運営は軽く考え、イヤなら現場に来なくなるハズと今後の動向次第と様子見になった。

文句を言える立場ではないが、もうちょいアイドルの盾になって欲しいものだ。



私不在のライブ終了後に

運営が定型文の様な謝罪文ツイートする。

そこに合わせて私も定型文の引用リツイートをする。



『このたびは、私の不注意、プロ意識の低さから

ファンの方々にご迷惑、ご心配させてしまいました。

本当に申し訳ありません。

ただ私は高速ファンタージュが好きです。

このグループで活動しつづけることで

信頼を取り戻したいと運営、メンバーと話し合い

ありがたいことに今後の活動を認めていただきました。


今後はより一層ファンの方に

愛され信頼してもらえるように

アイドル活動を頑張ります。


この度は誠にすみませんでした。

         箱崎ワズカ             』


つながりの何が1番悪いのだろうか。

それはきっと繋がって居ないと

オタクの応援や反応繋がっているオタクの

優越感にしかならないことだ。


プチ炎上の影響はおもったより小さかった。

ワズカなヒトはおっさんオタクが殆ど。

こういった不祥事にはある意味なれっこだったのかもしれない。

マッシュからの一方的なDMのみじゃ

大騒ぎするには燃料が少なかった。


2週ほど謹慎というお休みを満喫し、私は現場に復帰した。

チェキ残数の変動は人それぞれだったけど、

総じて減少幅は多くなかった。

1回目の過ちは誰でも寛容になる。

むしろDMでことさら優しくなったオタクまでいた。

一度でも誰かと繋がると、自分も繋がれるかもと期待してるみたいだ。


ただ、それよりも私との再会を喜んでくれるオタクの方が多かった。

養殖されたオタクに私は多めに餌をまいた。




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