第7話 最前の天使

渋谷の駅から道玄坂をのぼり

コンビニの近くにあるライブハウス。

グリードはよくタイバンでいく箱だ。


ライブチケット3000円にワンドリング600円

1グループ15分から25分

だいたい10グループのタイバンだ。


イベント自体は、12時間ぶっつづけである。

オープンからラストまで

その場にいられる強靭な体力と

精神力を持つオタクは1000年に1人だろう。


今日もお目当てのグループを受付につげ、ワンドリの券を無くしかけるオタクが三々五々集まる。

売れていなグループなら

最前すら空いてたり、オタク同士が入れ替わって、ライブ5分前に入場でも

お目当てのグループを最前で見れる。

これが地下アイドルの現実だ。


たまに、集客が強いグループが混ざると別の現象がおきる。

そう、タイバンと言えば最前管理だ←


早い番号で入場し、荷物や足を広げ、仲間以外を最前に入れさせない。

場所を確保した後で、他のグループのオタクがお伺いを立てる。

『このグループのあと、ラビットパーティーの時だけ前入れてもらえませんか?』

『あ、いいっすよ。その後戻ってくるんで、自分以外に場所譲らないでね。』

こういった入れ替わりを非難するつもりはない。

見たい人がより近くで見ればいい。

自分のお目当てのグループを最前でみるため場所取りしたいの気持ちもわかる。


だが、興味のないグループ

のライブ中にスマホをいじってるのはマナー違反と言われて久しいが減ることはない。

こういった無配慮が推してるグループの時にされると、応援しているオタクはイラッとする訳だ。


私のオタクは、そんなスマホ待機はなしない。

特段マナーがいいからじゃない。

基本ライブ中もフロアが空いてて、一時間も前に入場すれば、たいがい最前で見れるからだ。


ただ今日は、どこか強いグループが私の後にあるらしい。


今日のライブは最前にスマホに夢中の天使集団がいる。


普段ならそういった最前管理の天使はスルーして

いそいそと自分のオタクにレスをおくりチェキ残数を、コツコツ増やすのだが


今日は、最前管理してる天使相手にしゃがんで目線を合わせ、これでもかとレスを送ってみた。


『はーい、高ファンのワズカです。あなたはどこのグループのファンかな~。』


『あなたの推しより可愛くないかもしれないけいど、せっかくだから高ファンのライブも楽しんでいってね〜。』


本当はスマホをぶんどって投げつけたい気持ちを

殺しに殺してアイドルオーラ全開だ。

2曲目が終わり、短い自己紹介MCでも最前の天使をイジりにイジった。

そんなことが実ったのか3曲目の途中、スマホのゲームが一段落したのかもしれないが、1人の天使の輪が数字が1に変わった。

マジカ、新発見だ。

天使は天使じゃなくなるんだ。


最前管理の天使は、むれたがりだ。誰かひとりが興味を持つと仲間意識からか、他の天使も連鎖して天使じゃなくなった。

ご新規3名様だが。

ただ非常に割に合わない事もわかった。

1回のライブ25分全てを使って、チェキ3枚。

はっきり割に合わなかった。


私は、養殖業に従事すると決めていたからだ。


シンプル最前の天使にレスをしすぎたのだった。

本来すべき、釣った魚、もとから居るオタクへの餌であるレスが減った結果、既存のチェキ残数増やしはできなかった上、物販中の空気も今までとは違ってビミョーにギスギスしている。


マッシュがわかりやすく拗ねている。

 やはり古参と新規は

なかなかうまく共存共栄できない。


今までで自分が得られたものが

減るという感覚は耐え難いものだ。

議員が必死に既得権益を守るのも頷ける。


ただ、天使は天使じゃなくなる可能性がある。


これは、かなり重要な情報だ。

まぁほとんどが0→1→0でそれっきりだがw

変に増えて、今までのオタクともめられても面倒だしね。

それでも天使を1にできることは収穫だった。


0と1の差はデカい。

0が1になりうるという事実は私のメンタルを鋼にした。

私は、オタクをお金に換える。


メンタル鋼の錬金〇師だ←

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