第6話 ぱたとマッシュ
私のオタクで、チェキ残数が1番多いのが『ぱた』だった。
最古参のいわゆるTO。
私がチェキ残数がみえる前からオタク。
かれこれもう3年以上は推してくれてる。
チェキ残数も3桁の400くらいあった。
400×1Kは戦闘力40万なのでフ〇ーザ様よりは低いけど
私のオタクの中では最強だった。
40代、さえない見た目のフツーのオタクだ。
ぱたは特段TOぶるわけでもなく、他のオタクともあまり交流がないが、嫌われてる訳でもない。
居ても目立つわけではないが、居ないとすぐ分かるオタクだった。
ぱたとの物販は、みえる前から既にルーティング化していた。
私の物販列に並びつつも他のメンバーにもちょいちょい回り、私が空いてるとチェキループをしていた。
ループは1000円の普通のチェキだが
その日の最後に宿題チェキ用として
二人で同じPのポーズを作ってチェキを撮って終わる。
うちのグループでは宿題チェキといって
普通より500円高い、1枚1500円のチェキがある。
2人でチェキを撮るまでは一緒だが、撮ったチェキをアイドルに預け、コメントやシールなんかでデコり、後日に渡す。
チェキの裏面は黒いので、白系のペンでびっちりメッセージを書く。
オタクにとっては、ここの文字量と内容でマウント勝負、いかに自分が推されてるかの証明だった。
やれだれの方がハートが多い文字数が多いから推されだ、干されだ。
その時の気分に左右されるモノにオタクは熱くなっていた。
まぁ、ぱたは、私に説教するでもなく、変わりばえのしない今日のライブの感想や雑談をする。
あたりさわりのない、空気のような存在だ。
ぱたは、物販スタートから終了まで、毎回チェキを10枚前後とってもチェキ残数が減ることはなかった。
他のオタクともモメることもなく、ただ応援してしてくれてる。
私は、ぱたのおかげでアイドルでいられる部分が大きかった。
ただ、すまん。
実はオタクの1人とはつながっているw
ハイ、アイドル失格とか言わないー。
落ち着いて欲しい。
つながってるのはマッシュ←
ぱたではない。
実際に付き合ってはいない、チェキ残数の実験だった。
ぱたで試して他界されても困るのでマッシュでテストした。
マッシュはおっさんオタがほとんどだった
私のオタクの中で、唯一年齢が近かった。
ほっそい黒パンツにサイズ大きめの白シャツ。
30センチ前すら絶対に見えていないマッシュルームの髪型。
そう、マッシュは私が勝手に呼んでる愛称だ。
アカウント名は本名ひらがな。
チェキ残数が増えるならと、裏垢をつくり、こっそりDMを送った。
『しょう君だよね、私、わかる?』
『もし、現場でなんかあったらココにメッセージ送ってね』
そうDMを送って、実際は放置していた。
上手くいったら他のオタクにもしようと思ったが
チェキ残数の伸びはイマイチだった。
何よりバレるリスクを考えたらコスパが悪すぎる。
それなのに最悪、マッシュはかなりイキってしまった。
当然といえば当然だ。
私は完全に人選を間違えた。
そもそもマッシュは、カギ開けとカギ閉めの2回しか物販はこない。
ライブ中は、当然後方腕組み彼氏ヅラだ。
そうさせてしまうのは仕方ない、繋がった自分が撒いた種だ。
身から出た錆、私の根元に生えたキノコだ。
干してもう現場に来なくさせたいが、逆切れでバラされても困る。
そっけなくしてもそれが彼には特別感を与え
他のオタクに対する優越感を産んでいるようだ。
困った脳内お花畑だ。
ただそれでも私のオタクの中では
チェキ残数は多めで20前後
戦闘能力は2000ほどはあった。
ナメッ〇星人の若者クラスの強さだ。
マッシュの口癖は、俺ってオタクに見えなくない?だった。
うん、安心しろ、今どきの若いオタクは皆そんなかんじだよ。
ステレオタイプとして新しいだけだ。
私にとってオタクで重要なのは、その人の外見よりチェキ残数と口のかたさだ、覚えていて欲しい。
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