想いを伝えられる幽霊
私の体が土葬されてからもう一年が経つ。
つまり、悠くんに「好きです」って伝えた日からもう一年が経った。
そろそろ私が消える。
まだ悠くんに返事をもらっていない。
私が消えたらどこに行くのだろう?
やっぱり天国なのかな?
など考えながら悠くんに取り憑いていく。
多分、悠くんには私が見えていないみたい。
そろそろ悠くんが見えるほどの霊力が回復してきた。
悠くんにとって私はなんだろう?
私が悠くんの前から消えて、365日間悠くんは何を思ったのだろう?
悠くんの方から見えるぐらいまで霊力が回復した途端、実体化した。
ゆーうくん!
久しぶりだね!
私の方からは見えていたけどね!
なになに?言いたいことがある?
いいよ!
『綾ちゃん。いや、綾。このI年間、綾がいなくて寂しかった。だって今まで12年間ずっと一緒にいたのに、急にいなくなるなんて目の前でトラックにはねられて死ぬまで全く思ってもいなかった。その寂しさの中に綾ともう一つのものを無くした気がしたんだ。その時は人間関係がなくなったと思っていたけど、いろんな人と交流してもそのもう一つの物は見つからなかった。だけど、綾を見たらすぐにわかったよ。これが「恋」なんだってね。去年の返事を今するよ。
ーーーーー綾、大好きだよ。』
ふぇ?
え?
悠くんが私のことを好き?
えへへ…やったね。
私は幼稚園から思い続けていることを言った。
「私も悠くんのこと、大好きだよ!」
『そうだな』
「私たちって両片思いだったのかー…早く言ってくれればデート行けたのになー」
『ははっ!そうだよな』
とこんな感じで「もし〜だったら」のIFばっかりしゃべった。
もうあり得ないのにね。
「あ、もうそろそろ時間だ」
『もう会えないのか?』
「うん、悠くんと別れるのは寂しいけど天国で待っているね!」
『そうか、天国か。じゃ、天国で一緒に暮らそうな!』
「そうだね!待っているよ!」
『おう!もうちょっとこの人生を楽しんでから行くからな!絶対待っとけよ!』
「うん!じゃあね!」
そう言った瞬間、私はこの世界から消えた。
「クスクス……あなたって人はあれだけあの人のことが好きなのね」
私は悠くんの前から消えて、天国の天使長の元に行った。
『はい!一日中くっついても足らないぐらいです!』
「あまりヤンデレにはならないようにね。さて、本当は輪廻転生に従って送り出そうと思ったのだけれど……彼が来るまでここにいていいわよ」
『本当ですか!?ありがとうございます!』
「ふふっ!いいのよ。お二人さんの仲睦まじい姿が見たいだけだから♪」
それから私は……
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