想いを伝えられる彼
[綾ちゃん]が死んでもう一週間が経った。
葬式まで後数日。
綾ちゃんの机の中に何故かあった遺書に『…私の体は火葬ではなく土葬にして』
とあったからだ。
まぁ、綾ちゃんにいつか『私の身体は火葬ではなく土葬にしてくれたら嬉しいな〜』って言われてたっけ?
時は流れ、葬式の当日……
綾ちゃんの親戚と思う人がたくさんいた。
その中に、はしゃぎ回っている幽霊の綾ちゃんがいた。
本当に何しているの?
お坊さんの読経などいろいろやって後、綾ちゃんの身体は土の中に埋められた。
綾ちゃんのお母さんは最後まで大泣きだった。
そりゃそうか。
大切に育ててきた娘がトラックにはねられて死んだしまったからな。
幽霊の綾ちゃんも泣きながら『お母さん、今まで育ててくれてありがとう。』って言った。
夜になり、俺は一足先にベットに入った。
そしたら、幽霊のあやちゃんが実体化した。
「うわぁ!?綾ちゃん!?」
といかにも「今まで見えなかったですよ」という言動を装った。
『悠くん久しぶり…かな?』
「久しぶりじゃないだろ。ずっと後ろ憑けてきただろ」
『え?知ってたの?』
「言っていなかったが俺は幽霊が見えるからな」
急に幽霊が見える宣言されたのに驚かない人はいないだろうな。
だって誰にも言っていなかったもんな。
『そうなの!?』
「声も聞こえてくるからさっきのもあまりビビらなかったが?」
『じゃあ、今までの反応は……?』
「そんなもの演技に決まっているだろ。それより実体化したんだったら早く用事を言えよ」
『そうだったね。……悠くん』
「なんだ?」
ニヤニヤしながら綾ちゃんの方を見る。
だって内容を知っているしな。
『悠くん!好きです!大好きです!本当だったら大学を卒業して、結婚して、悠くんの子供を作りたかったけどトラックにはねられて死んでしまった。悠くん、こんなバカな私と一緒にいてくれてありがとう。大好きだよ!悠くん!』
おっと…なんか意外に情報量が多かった……
「プロポーズの最中に悪いんだが…いつから好きだったんだ?」
『そりゃあ、幼稚園のころからだけど?』
「マジか……」
そん時の俺!気づいとけ!
『それで答えは……?』
と言った瞬間に綾ちゃんの体はまた透けた。
実体化が解けちゃたのか。
「あれ?…やっぱり実体化している時間は短かったか……」
『ごめんね?また一年後会おう!』
そう言って彼女は俺の目の前から消えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます