06 悪魔
「ん? そういえばお前、
「はい、先日着任いたしましたヨハネ・ブルーム少尉であります」
将軍はじろじろと王子を見つめる。めっちゃ顔が近い。鼻と鼻がぶつかりそうな
(気づかれてしまったか?)
「君、36歳には見えないな」
肉ミンチとなったブルーム少尉は36歳だった。それでも
「昔から童顔だと言われております」
ドメル将軍はちょっとだけ鼻で笑い、王子の肩を二回ポンポンとたたいた。
「まぁ、適当に頑張ってくれ」
(えっ、乗り切ったの?!)
立ち話が長引いたが、ようやく
「戦車だけでも
「もう君たちだけでフランシスの
「私の作戦は君たちがいなければ実現しなかった。まずは礼を言おう」
ドメル将軍は帝国軍人では
そんな
「それで、アイラ」
そんな将軍の笑顔が急に消えた。真面目な空気が
「君を、準一等国民に推薦しようと思う」
この帝国民には階級が主に三つある。一つは一等国民。帝国生まれの帝国臣民であり、彼らは生まれながらに優れた才能と血統を有するとされ完全な市民権を持つ。それ以外が二等国民で
「良いのか?」
将軍が持つ
「君意外に思いつかなった」
これは願ってもないチャンスだった。準一等国民になれれば今よりはまともな生活になるだろう。戦場ですりつぶされるだけの命ではなく、何もない
*****
戦果報告の帰り道。ずっと黙っていた王子がようやく口を開いた。
「よかったじゃないか」
うれしくて忘れていたけど、そういえばこのエリックは、帝国を打倒して故郷を取り戻そうとする立場の人間であった。
「まぁ、日ごろの行いかな」
という、そっけなく返したつもりだった。でも私のやっていることは、帝国に全部奪われながら帝国に身も心も
なんだか、普段からDVを受けていて、たまにご
「…」
二人に、
「先に帰ってろよ」
そう言って王子を帰した。エリックは何か言いたげだったけど、今の彼には何もできない。何も提案できることがなく、ちょっと寂しそうな後ろ姿でトコトコ帰っていく背中が印象的だった。
その直後だ、急に
この悪寒はたぶんあいつの気配である。
「あら、あらあらあら~。アイラさんではありませんの」
空色のドレスみたいな軍服姿で私を呼び止めた金髪の帝国聖女。この帝国聖女こそ闇落ち聖女が最も
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます