第十幕
第十幕
彼女の予想通り午後2時ちょうど、つまり一日の内で最も気温が上昇する頃になってから、遂に始末屋はモナコ公国の市街地の中心部に建つホテルハイエロファント・モナコへと到着した。
「着いたぞ」
ホテルの正面玄関前で大型アメリカンバイクを停めた始末屋がサイドスタンドを立てながらそう言って、エンジンを切ると同時に背後を振り返れば、彼女の背中を追っていた闇の集団『ザ・シング』の四人もまた足を止める。
「サア、始末屋ヨ。アイーダ・サッチャーノ手ニヨッテ、オ前ガ濡レ衣ヲ着セラレタト言ウノナラ、ソノ主張ヲ証明シテミセルガイイ」
「ああ、そうだな。敢えて貴様に言われるまでもなく、あたしの無実を証明してみせるとも」
闇の集団『ザ・シング』のリーダーを務めるプラズマの督促に対してそう言って応じた始末屋は、
「お帰りなさいませ、マダム。昨夜はご不在のご様子でしたので、当ホテルのスタッフ一同、マダムの身を案じておりました」
「ああ、図らずも諸般の事情により、昨夜はパリ郊外の某所で夜を明かした。心配を掛けたな」
「いえいえ、そんな、滅相もございません。マダムの身の安全が確保された事こそ、我々にとって、何よりの朗報でございます」
そう言って謙遜しつつも社交辞令の言葉を忘れないフロント係のホテルマンの整った顔からは、如何にもその道のプロフェッショナルらしく、決して嫌味にならない程度に朗らかな笑みが絶えはしない。
「ところで、マダム? このような不躾な事をお聞きして、もし仮にご気分を害されましたら申し訳ありませんが、そちらの方々はマダムのお連れ様でございますか?」
フロント係のホテルマンは、ややもすれば申し訳無さげな表情と口調でもってそう言って、始末屋に続いてホテルハイエロファント・モナコのロビーに足を踏み入れた『ザ・シング』の四人を指し示しながら問い掛けた。
「ああ、そうだ。若干不本意ではあるものの、確かにこいつら四人は、あたしの連れに相違無い」
始末屋がそう言えば、フロント係のホテルマンは、再び
「左様でございますか、それを聞いて、ホッと一安心致しました。最近は何かと物騒なものですから、当ホテルに足を運ばれる方々の身元の確認を厳格にしております故、ご理解の程をよろしくお願い致したく存じます。それから、マダム? 他のお連れの方々も、昨夜からずっとマダムのお帰りを首を長くしてお待ちでございますので、どうぞごゆっくりとご歓談ください」
「他のお連れの方々だと?」
遅蒔きながら、彼女の背中に注がれている熱く鋭い視線の数々をようやく察知した始末屋は、そう言ってはっと息を呑みつつもぐるりと周囲を見渡した。すると広壮にして荘厳な造りのロビーのそこかしこに、明らかに堅気ではない裏稼業のならず者特有のオーラを纏った幾人幾グループもの胡乱な人影、つまり彼女の首級を挙げんとする
「……」
彼女が再びモナコ公国まで舞い戻って来る事を予測し、この地で
「……始末屋だ……奴こそが『禁忌破り』の大罪人だ……」
「……奴を殺せば……トップランカーの仲間入りも夢じゃないぞ……」
「……誰が
「……俺か……お前か……」
「……それとも……全員で一斉に……やるか……」
始末屋を取り囲んだ一癖も二癖もあるような
「全員、ソノ場ヲ動クナ! 始末屋ヲ亡キ者ニセントスル、オ前ラノ謀議謀略モ、ソコマデダ!」
すると次の瞬間、彼女をぐるりと取り囲む
「おいおいおい、プラズマの旦那さんよ? 言うに事欠いて俺達全員にその場を動くなとは、あんた、一体何様のつもりだい?」
自制を促された数多の
「果タシテココニ居ル始末屋ガ、名実共ニ『禁忌破リ』カ否カガ証明サレルマデ、彼女ノ命運ハ我々『ザ・シング』ガ預カッタ! コノ決定に異ヲ唱エルベキ者ハ、今スグコノ場デ、一歩前ニ進ミ出ヨ! 我々ガ直々ニ、ソノ身ヲモッテ、我々ノ決定ノ正シサヲ教エテクレル!」
全身を薄紫色に光り輝かせるプラズマが放電を止めぬまま、床からおよそ1mばかり浮き上がった状態で宙を漂いながらそう言えば、ホテルハイエロファント・モナコのロビーに居並ぶ
「ドウヤラ、全員、納得シタヨウダナ。ソウダロウ?」
そう言って念を押すプラズマにじろじろと
「助かったぞ、プラズマ。感謝する」
「勘違イスルナヨ、始末屋ヨ。我々ハ、オ前ガ無実ヲ証明スルマデノ一時ダケ延命シ、時間稼ギニ協力シテヤッタマデノ事ダ」
礼を述べる始末屋に向けてそう言ったプラズマの頭部は、やはりデジタル迷彩模様の戦闘服とフルフェイスのガスマスクでもってすっぽりと覆われてしまっているため、果たして彼が始末屋の敵なのか味方なのかをその表情から
「おい、貴様、アイーダ・サッチャーは今どこに居るか、分かるか?」
「サッチャー様でございましたら、この時間は、地下のカジノホールでゲームを楽しんでおられる筈でございます」
「そうか」
フロント係のホテルマンの返答に満足した始末屋はそう言って、くるりと踵を返したかと思えば、地下へと降りるエレベーターの方角へと足を向けた。すると彼女の背後に、闇の集団『ザ・シング』の四人、それにロビーに居並んでいた数多の
「おい、先に乗った奴、もっと奥まで詰めろ! 後ろが
「狭いんだから、無理言うな!」
やがて到着した直通エレベーターの狭く小さな籠の中に、そう言って口々に不平不満を漏らし合いながらも、始末屋を先頭とした全ての
「ここか」
ホールに足を踏み入れた始末屋がそう言いながらぐるりと周囲を見渡せば、ロビーと同等、もしくはそれ以上に広壮にして荘厳な造りのホテルハイエロファント・モナコのカジノホールはまさに盛況そのものであった。ホテルに宿泊する観光客は
「どうも昔から、カジノは好かんな。煙草の煙と酒の匂いで空気は悪いし
カジノホールを覆い尽くす煙草や葉巻の紫煙と欲に眼が眩んだ人々の喧騒、それに現金代わりに飛び交う煌びやかなチップの山を一瞥しながら、始末屋はそう言って眉を
「サア、始末屋ヨ。オ前ノ無実ヲ証明シテミセロ」
「そんなに急かすな、プラズマよ。まずはこのカジノホールにどこかに居る筈の、あたしに『禁忌破り』の濡れ衣を着せた張本人であるアイーダ・サッチャーを探し出すのが先決だ」
そう言った始末屋は闇の集団『ザ・シング』を筆頭とする
「あら? 随分と場違いな格好の馬鹿デカい大女が姿を現したかと思ったら、百戦錬磨の
黒い革のライダースーツにぴっちりと身を包んだアイーダ・サッチャーは皮肉を交じえつつそう言って、始末屋を睨み据えながらほくそ笑んだ。
「ああ、おかげ様でな」
すると駱駝色のトレンチコートに身を包む始末屋もまたそう言って皮肉交じえつつ、アイーダ・サッチャーを睨み返しながら、カジノホールのテーブルを挟んだ彼女の向かいの席に腰を下ろす。
「それで、始末屋さん? あんたみたいな有名人ともあろうお方が、こんなあたしなんかに、何か用でもあるのかしら?」
アイーダ・サッチャーは不敵にほくそ笑みながらそう言って、わざとらしく
「とぼけるな。貴様がヴィロ王子の寝室からこっそり持ち去り、今尚隠し持っている筈の例の
「ん? 例の
やはりわざとらしく、また同時にこれ見よがしに勿体ぶった表情と口調でもってそう言いながら、アイーダ・サッチャーは彼女の身を包む黒い革のライダースーツの胸元から一台のスマートフォンを取り出した。その如何にも大金持ちの貴族の王子様の所持品然とした、悪趣味なルイ・ヴィトンの高級スマホケースに包まれた最新型のiPhoneこそ、プレジデンシャルスイートルームの寝室から持ち去られたヴィロ王子のスマートフォンに相違無い。
「ああ、そうだ。そのスマートフォンを、大人しくこちらに引き渡すがいい」
「おっと、こんな大事な
「ほう? つまりアイーダ・サッチャーよ、貴様は今ここで、このあたしと一戦交えるつもりと言う訳だな?」
アイーダ・サッチャーの不遜な問い掛けに対してそう言って問い返した始末屋は、臨戦態勢へと移行すべく、その身を包む駱駝色のトレンチコートの懐にゆっくりと左右の手を差し入れた。しかしながら彼女の手によって左右一振りずつの手斧が引き抜かれるその前に、やはり不遜な表情と口調でもって、テーブルを挟んだ向かいの席に腰を下ろすアイーダ・サッチャーは提案する。
「そんなに焦るんじゃないよ、始末屋。いくらあんたが殺し合いしか能の無い生粋の
「何をすべき場所? その場所と言うのは、このカジノホールの事か?」
「そう、カジノだ。そしてカジノですべき事と言ったら、
そう言ってアイーダ・サッチャーが断言すれば、始末屋もまた、彼女が言わんとするところを即座に理解した。
「そうか、成程。すると貴様はカジノホールに
「ああ、その通り」
そう言って
「ナラバ、我々『ザ・シング』ガ、ディーラーヲ務メヨウ」
すると彼女の背後に控えていたプラズマが一歩前へと進み出ながらそう言って、始末屋とアイーダ・サッチャーが睨み合うテーブルの元へと歩み寄り、彼自らゲームの進行を担うディーラー役を買って出た。
「ソレデハ始末屋、ソレニ、アイーダ・サッチャーヨ。オ前ラノ勝敗ノ行方ハ、今コノ場デ、カジノニ
「ああ、勿論だ」
「是非も無い」
始末屋とアイーダ・サッチャーの二人がテーブル越しに睨み合ったままそう言って、プラズマの提案に対して揃って賛同の意を表すれば、ディーラー役を買って出た彼は先んじてアイーダ・サッチャーに要請する。
「マズ最初ニ、アイーダ・サッチャーヨ。今回ノ勝負ノ賭ケ金代ワリトナル、何者カノ手ニヨッテ殺害サレタヴィロ王子ノスマートフォントヤラヲ、テーブルノ上ニ並べテモラオウカ」
やはり合成音声の様に抑揚の無い平坦かつ機械的な声でもってそう言ったプラズマの要請に従い、アイーダ・サッチャーはルイ・ヴィトンの高級スマホケースに包まれたヴィロ王子のスマートフォンを、彼女と始末屋から見てちょうど等距離の位置に当たるテーブルの中央にそっと置き直した。
「ヨロシイ。ソレデハコレヨリ、コノスマートフォンヲ賭ケテ、ブラックジャックノ一回勝負ヲ執リ行ウ。ソコノオ前、未使用ノカードヲコチラヘ」
プラズマがそう言って命じれば、カジノホールでディーラーを務める男性スタッフの一人が「は、はい!」と言いながら彼に新品のカードを箱ごと手渡し、それを受け取ったプラズマはカードの封を切る。
「ルールハ単純明快、始末屋トアイーダ・サッチャーノソレゾレノ手元ニ配ラレタカードノ数字ノ合計ガ、ヨリ21ニ近イ者ノ勝利ダ。タダシ数字ノ合計ガ21ヲ超エタ場合ハ、自動的ニ、ソノ者ノ敗北トスル」
放電と共にそう言ってざっとルールの概要を説明し終えたプラズマの手によって、まずは各自に一枚ずつ、充分にシャッフルされたカードが始末屋とアイーダ・サッチャーの手元に配られた。俗に『アップカード』とも呼ばれる、表面を上にした状態でもって配られたカードに描かれた模様と数字に、テーブルの周囲をぐるりと取り囲む数多の
「おっと、こいつは幸先が良い」
そう言って不敵にほくそ笑むアイーダ・サッチャーの手元に配られたカードはスペードのQ、つまりブラックジャックに於いてはJやKと並んで数字の10に相当するカードであり、対して始末屋の手元に配られたカードはダイヤの5であった。
「おい、プラズマよ。そいつの戯言に一々耳を貸さず、早く次のカードを配れ」
始末屋がぶっきらぼうな表情と口調でもってそう言えば、プラズマはやはり各自に一枚ずつ、今度は『ホールカード』と呼ばれる模様や数字が伏せられた状態のカードを彼女ら二人の手元に配って手を止める。
「……」
配られた二枚目のカードの端をそっと
「サア、二人トモ、ドウスル? 三枚目ノカードハ、必要カ?」
ディーラーを務めるプラズマがそう言って問い掛ければ、アイーダ・サッチャーは首を横に振る。
「いや、あたしはもう、これ以上のカードは必要無い」
アイーダ・サッチャーはそう言って早々にスタンド、つまり手持ちの二枚のカードのみでもって勝負に挑む事を決定するものの、そんな彼女とは対照的にテーブルを挟んだ向かいの席に腰を下ろす始末屋は考えあぐねていた。
「……」
前述した通り、今現在の始末屋の手持ちの二枚のカードの数字の合計は13と言う、この上無く微妙な結果である。ここでヒット、つまり三枚目のカードを手配してうっかり9以上の数字を引いてしまった場合には、数字の合計が21を越えて、バストと呼ばれる敗北が即座に決してしまいかねない。
「どうした、始末屋? ヒットかスタンドか、早く決めてくれないと、陽が暮れてしまうぞ?」
にやにやと不敵にほくそ笑みながらそう言って、挑発、もしくは嘲笑を繰り返すアイーダ・サッチャーの言葉には一切耳を貸さぬまま、熟考を重ねた始末屋は鮮やかな緑色のラシャが張られたテーブルの天板をとんとんと指で叩きながら、ディーラーを務めるプラズマに命ずる。
「ヒットだ。三枚目のカードを配れ。早くしろ。ぐずぐずしていると、その尻を蹴っ飛ばすぞ」
そう言って始末屋が命じれば、プラズマは無言のまま三枚目のカードを彼女の手元に配り、そのカードの端を
「ドウスル、始末屋ヨ? 四枚目ノカードハ、必要カ?」
「いや、結構。あたしもこの三枚で、勝負に挑む」
プラズマの問い掛けに対してそう言って返答した始末屋は、再びテーブルを挟んだ向かいの席に腰を下ろすアイーダ・サッチャーと睨み合い、虚空でもって交錯する互いの視線がばちばちと激しく火花を散らす。
「ソレデハ二人トモ、イヨイヨヴィロ王子ノスマートフォンヲ賭ケタ勝負ノ、決着ヲ着ケルベキ時ガ来タ。マズハ始末屋ヨ、オ前ノ手元ニ配ラレタ全テノカードヲ、オープンスルガイイ」
やはり放電と共にそう言ったプラズマの言葉に従い、始末屋は表面が伏せられた状態のまま彼女の手元に配られた二枚のホールカードを、一枚ずつ裏返し始めた。二枚目に配られたカードはクローバーの8、そして勝敗の行方を左右する三枚目のカードの模様と数字は、ハートの7である。
「オープンカードガ5、ソレニ二枚ノホールカードガ8ト7デ、始末屋ノ手札ノ数字ノ合計ハ20トスル」
ディーラーを務めるプラズマがそう言って、始末屋の手持ちのカードの数字の合計を宣言すれば、テーブルを取り囲む数多の
「ソレデハ、アイーダ・サッチャーヨ。次ハオ前ノ手元ニ配ラレタカードヲ、全テオープンセヨ」
改めてそう言ったプラズマの言葉に従い、今度はアイーダ・サッチャーが、彼女の手元に配られた一枚のホールカードに指を掛けた。そして表面が伏せられた状態のカードを音も無く裏返せば、そこに描かれていた模様と数字はスペードのAである。
「スペードのAだ! 21だ!」
「何てこった、ブラックジャックだ! それも、スペードのナチュラルブラックジャックだ!」
固唾を飲みながら事の成り行きを見守っていた
「どうだい、始末屋? 昔から運も実力の内と言われているが、つまり、これがあたしの実力って事さ!」
およそ考えられ得る限り最強の手札を開示してみせたアイーダ・サッチャーはそう言って勝ち誇り、テーブルを挟んだ向かいの席に腰を下ろす始末屋に軽蔑の眼差しを向けつつも、ふんと鼻を鳴らしながら彼女を嘲笑った。
「勝負アリ。コノゲームハ、アイーダ・サッチャーノ勝利ニヨッテ、幕ガ閉ジラレタモノトスル」
ディーラーを務めると同時に
「それでは事前の取り決めに従って、このスマートフォンは、勝者であるあたしが頂いて行く事としよう。始末屋、あんたは『禁忌破り』として、引き続き全ての
そう言って勝ち誇りながら、椅子から腰を上げたアイーダ・サッチャーは鮮やかな緑色のラシャが張られたテーブルの上に身を乗り出し、そのテーブルの中央に置かれたヴィロ王子のスマートフォンに手を伸ばす。
「これであんたも年貢の納め時だな、始末屋」
しかしながらそう言った彼女の右手がスマートフォンに触れた次の瞬間、始末屋は駱駝色のトレンチコートの懐から素早く手斧を引き抜くと、その手斧の切っ先でもってアイーダ・サッチャーの身を包むライダースーツの袖口を切り裂いた。
「!」
すると切り裂かれたライダースーツの袖口から数枚のカードがぽろぽろと零れ落ち、アイーダ・サッチャーの不正行為を白日の下に
「観衆の眼があたしの手札に集中している隙を突いてカードを
「ちっ!」
袖口に隠したカードと手元のカードを
「こうなったら、実力行使だ! 今この場であんたを抹殺し、あたしが正しい事を証明してくれる!」
悔し紛れにそう言ったアイーダ・サッチャーはヴィロ王子のスマートフォンをぱっと素早く搔っ攫うと、それを彼女の身を包む黒い革のライダースーツの胸元に放り込みながら
「覚悟するがいい、始末屋!」
「この期に及んで、往生際が悪いにも程があるぞ! 貴様と言う奴は自らカードゲームによる決着を望んでおきながら、
超硬合金製の
「黙れ! 黙れ! 黙れ! この薄汚い黒んぼの大女め! その肌の色と同じ真っ黒な血反吐を吐きながら、地獄に堕ちるがいい!」
宙を舞うカードやチップには眼も呉れぬままそう言って、ともすれば人種差別的とも判断されかねない悪態を吐きながら、こちらへと飛び来たるテーブルに素早く照準を合わせたアイーダ・サッチャーは
「ぎゃあっ!」
しかしながら次の瞬間、そう言ってカジノホールの空気をびりびりと震わせた一際大きな
「アイーダ・サッチャーよ、どうやら貴様とあたしとは、直接刃を交える事でしか決着を付けられない運命らしいな」
頭部が爆散して果てた名も無き
「ああ、確かにそのようだな、始末屋よ」
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